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ことばの魔法で

このnoteもなんだかんだ更新ができていて、嬉しいです。
最近は妻が風邪をひいて高熱のあと喉が痛くなって、コロナは陰性でしたが病に伏せっています。日本のように風邪薬や風邪の時に食べるものが充実していないフランスです。風邪をひいたときに日本では栄養ドリンクやスポーツドリンクをのむのが一般的ですがフランスでは「コーラ」を勧められるんだそうです(医者からも)。ふーん……

あ、そうだ
「言葉は魔法だ」
なんて思う日々なのです。
お、なんだ?
フランスに行って季節が、オザケン化した!

そうです。
萌え袖しながら
コーヒー片手にパソコン打つぼくは
街路樹の夜の街を歩いて君の家まで向かっているのです。

まぁそんなことはおいて
正確にいうと逆で
「魔法って言葉」だなと思います。

魔法っていうと、
「ギガンテ」
とか
「ケアル」
とか
「エキスペクトラパトローナムー」
とか呪文を唱えてなんらかの効果を相手に与えるわけですが
あれは魔法の通俗的な理解でして、言葉が真に魔法的に相手になんらかの真の効果を与えるためには
その言葉という魔法を互いに使うことができるという必要条件があります。
これはまぁラカンでいうところの象徴界なわけですが
例えば岩に向かって
「そこどけ!」と呪文を唱えてもなんの効果ももたらしません。
あなたを周りの人に少し変な人と思わせる効果はあるかもしれませんが。
それは、言葉を覚える前のあかちゃんにも同様ですし、日本語を知らない外国人にも同様です。
だけど邪魔な日本語話者に
「そこどけ!」
と唱えると
その人はどいてくれたり、
「誰にいうてんねん!?」
と脅迫の魔法を返してきたりするわけです。
だから私たちはどいてもらうために
「ちょっとすいません」
という割とどこでも使えて当たり障りのない万能の魔法や
「すこしどいていただけますか?」
という丁寧なバージョンの魔法を覚える必要があります。
つまりその状況に合わせてルーラだけでなく、トベルーラとかバシルーラとか色々使える必要があるわけですね。

おっと、脅迫の魔法のせいか「そこどけ」魔法の話をしていたのに、逃げる魔法になっていた……

何が言いたいかというと、今、私はフランスにやってきて日本で使えていたはずの魔法が使えなくなって、魔法見習いをしているという話です。
まぁこれが『魔女の宅急便』のキキや『おジャ魔女どれみ』のどれみちゃんだったら可愛くもあるんだろうけど
40間近で魔法が使えなくなるのは相当厳しい。もっとたくさん魔法を覚えなければ!と思う日々なのです。しかし自分の研究分野は哲学や精神医学なので普段の日常会話とは全く異なる言語体系です。例えば日本語でも哲学の本を読んでもおそらく半分以上の人が意味不明です。それはやっぱり科学論文でも同じでしょうし、お近くの書店でギター雑誌のピックアップの比較の記事とか読まれても同じかと思います。まぁとにかく普段の言語体系とはことなります。業界には業界の魔法があるのでその業界の魔法を習得する必要がある。研究のためにフランス語で本を(必死で)読んでいますが、そうするとどうしても日常生活の魔法がおろそかになるわけです。がんばらねば。まぁ以上のような経験を踏まえヤコブソンの言語の機能を再び学び直してみるとまた見え方が変わるな〜と感じます。

ところで魔法といえば、冷え込んできて街はノエル(クリスマス)ムード高まってきて、観覧車がリールの広場に現れたりしています。
もしこの世にサンタ・クロースがいるならば、noteでサポートしてください。(と冗談めかして書こうと思ったり思わなかったりしていたら、書く前に、本当にいた!ありがとう!サンタクロース!!!)それではまた。

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