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花譜

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四季の花や植物との出会い。古道具と花、写真で綴る短いエッセイ。
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#花

秋のブーケ 私の花仕事

私が、もうかれこれ13年もの間、担当している花の仕事がある。 花の通販サイト『花問屋アソシエ』さんでの『花レシピ』の製作と撮影。『うきうき花レシピ』という、気分も揚る名前をいただいている。 毎月一回、季節の花の紹介とそれを使った作品を製作し、撮影する。 事前にデザインを決めて、花材を発注。 当日は丸一日かけて8作品程度製作しながら工程を撮影していく。 今年からは動画撮影も加わり、どうお見せしたらいいいか工夫しながら、スタッフ皆で試行錯誤しながら進めている。 特に、プロのカメ

初秋の愉しみ

明け方に窓を少し開けてみる。 冷たい外気を感じることができたら、窓を開けたまままた浅い眠りにつく。 この安堵感を長い間待っていた。 今年の夏は暑すぎて夏に咲く花も少なかったように思う。 ようやく適温になった今、復活して秋の花に混じって咲き続けている。 植物も暑さの緊張感からようやく解放されたのであろうか。 芙蓉は夏の花の一つ。 芙蓉の一日は忙しい。朝ふわっと咲いて、お昼にピンクに染まり、夕方ムギュッと閉じて落ちる。このピンクの『茶巾絞り』が翌朝地面に転がっている。このコロ

春の花は砂糖菓子 私の花選び

先週、また今年も花のデザイン製作と撮影の仕事が始まった。 春の花は、まるで砂糖菓子。 パステルカラー。 花びらが薄くて、壊れそうで、ピュア。 今の自分に足りないものが溢れ出ているなあと、花を束ねながら苦笑する。 戦後フラワーデザインが海外から入って、様々な花のトレンドを経て、現在のお花屋さんでは、こういったお花いっぱいのデザインが主流となっている。 花同士の間隔が近いこのようなデザインでは、『色合わせ:カラーリング』が主要となり、色中心で合わせていく。 しかし、時折『花の

ドクダミ草

梅雨時、雨が降りそうで降らないような曇りの日。 気圧段々が低くなると肩にじわじわと重みを感じ、気持ちも段々塞がってゆく。降り出してしまえば、なんとなく楽になる。 小雨が降り出した。 気分転換に外へ出る。 今年も、庭には一面のドクダミ草だ。 暗くて陰鬱なイメージ、独特の香り。 大抵の人々は嫌う庭の雑草だ。 しかし私は、このドクダミ草が好き。 雨に濡れた一面のドクダミ草は、美しくてため息が出る。 白い襟の修道女たちが祈りを捧げているかのよう。 少し、茂みに立ち入り、写真を撮

モノクロフィルムで撮る初夏の花

初夏は、白い花が多い。特に木の花には白いものが多い。 モノクロフィルムで撮影する場合、花弁の厚さと色は、光の透過度で表されるが、『白い花』が一番その特徴を撮し出しやすいと思う。 だから、この季節はワクワクが止まらない。 本日の花の画像は、Leica M4 / DR-summicron / Kodak Tri-X 400 で撮影し、スキャンした画像。 5月初旬から時系列で追っていく。 まずは、エゴノキの花が紫陽花の葉に降り積もっていた。 山法師。 木の上の方に上向きに花をつ

梅雨入りと夏椿

本日関東甲信地方は、梅雨入り。 もう少しだけ、爽やかな季節を愉しみたかったけれど。 ただ、雨も悪くない。 土砂降りの中、カメラが濡れないように傘をさしながら木の下に入る。 葉の下に花をつける花だから、花に被ってるいる葉を少し上の葉に乗せて、なんとか花の顔を出した。 開花が始まって数日経ったが、雨の日の今日に限って、花が沢山咲いていた。大体、そんなものだ。 しっとりと小さな雨のビーズをまとっている。 この雨の景色はもう今日しかない。 同時にフィルム撮影も試みた。 昨年はピ

初夏の花ワークショップレポート

本日は、仕事のレポートです。 昨日はいつもお世話になっています、Zushi art gallery さんで『初夏の花を愉しむワークショップ』を行いました。 まずは、会場のwelcome flower. 昨日は、初夏の花をどう魅せるかということで、涼やかに『浮かべる花』と『掛ける花』をテーマにしました。 浮かべる花の作品 掛ける花の作品 残った花材で花束 私は、ご自宅などで花を愉しむ場合、沢山の花は必要ないと思っています。 季節の花をシンプルに。 それぞれの花の特徴

晩春から初夏へ

この時期、木の芽時は何かと体調を崩しやすい。 子供の頃に至っては、入学式後に水疱瘡になり、学校の一泊遠足の夜から熱を出したり、病気が見つかって入院など、といいことがなかった。 昨年もめまいで辛かった。 今年はお陰様で比較的体調が良く過ごせている。 しかしなぜか葉桜の頃になると、なぜだか空っぽの気持ちになり、大丈夫かな、と思ったが、5月の連休前から日々の忙しさで体を休めるのに精一杯。以後いいのか悪いのか、何も考えられなくなった。 気がつけば、季節は変わって晩春から初夏。 楓

エゴノキの下で

初夏は、大好きな白い木の花が次々と開花する。 運転しながら山の自然、散歩で路地や誰かの庭を眺めながら『あの花、この花』と見つけながらこの季節過ごしている。 いけばなやフラワーデザインといったもので長く生業を立てているが、やはり、『自然の美しさにかなうものはない』と、『自分のための花』は段々と『生産された花』から遠ざかり、自然からいただいたものをシンプルに少しいけ、生活の中で愉しんでいる。 特に木の花には野趣があり、『あの器に入れてみたい』といつも心が踊る。 ところが、花

美しき白藤

GWは仕事が合間に入り、何かと慌ただしく過ぎてしまった。 ようやく回想する時間。 この美しき白藤だけは、どうしても残しておきたく撮影しておいた。 白いシャンデリアの下で熊蜂さんたちが舞踏会。 やはり、紫よりも白が貴賓があって好き。 来年もまた会いたい。

企画展へ参加中

4/29よりいつもお世話になっているZushi art gallery さんの10周年企画展『猫とバラの日々』に参加しています。 今回は、モノクロ写真4点と会場に薔薇の花で少し装飾もしています。 写真は、FLATLABOさんで、一度試してみたかったネガスキャンしたものをデジタルプリント出ししました。バライタ調の用紙を選び、手焼きとそんなに変わらない風合いに仕上がっています。 勿論、自家プリントするのが望ましいのですが、果たして自分はそこまでこだわっているかというとそうでも

雨上がりの緑の庭から

今日は、暦の上では穀雨。 雨は、夏に向かってすべての植物の恵みとなる。 葉桜の木の下では、あちこちでライトグリーンの新しい葉が広がり始め、この時期の雨上がりの庭は、なんと美しいことか。 白やグリーンの初夏の小さな花も咲き始めた。 季節は、刻々と進んでいる。 好きな季節の幕開けだ。 少しだけ庭からいただいて、もう種ができてしまった春のクリスマスローズと薬瓶にいけた。

浦島草

浦島さんは、小船に乗って釣り糸を垂れたとさ。

葉桜

桜がまだ蕾だった2週間ほど前、五葉木通(ゴヨウアケビ)がほぼ車しか通らない街路樹の桜の枝に絡んでいたのを思い出し、そろそろ咲く頃かと同じ道を辿ってみた。 木通の花は蔓に小さな葡萄の房のようにたわわに花をつけていた。 そして桜は葉桜。 五葉木通の複雑に絡み合った蔓を丁寧に解きながら少々いただいて、帰路につこうとしたのだが、茶色の葉を出した葉桜がとても気になって引き返した。 前回の記事で『桜は近年いけていない』と書いてしまったが、その時どうしても葉桜を写真に撮っておきたい衝