往年の名参考書と噂の「着眼と考え方 現代文解釈の基礎」を購入した話

こんな本を買いました。

まだ買って一部だけを読んだだけですが、その段階で一度感想を述べさせていただきます。ちなみに冒頭から取り組んでいって、今は小説の途中あたりです。取り組んでいると書きましたが、問題集としてちゃんと使ってみています。面白い。

この本の白眉は、例題での問題演習を通して筆者の思考過程が描かれていることにあると思います。現代文の問題を解く際にどう考えを進めていけばいいかわからない、という悩みを持つ方も多いかと思います。そのような悩みに対応するかのように、問題を解く際の筆者の思考過程が開示されています。もちろん自分で考えてからですが、筆者の思考過程を辿ることで、納得いく解答にたどり着くことができます。そしてその思考過程は、後の練習問題や他の文章を読む際にも利用することができる(もちろん、学習の転移を引き起こす工夫を自身でする必要はありますが)ものとなります。

また、文学的な文章にしろ論理的な文章にしろ、どのようにして読むべきかという読解の方法論が明確に書かれているところにも好印象です。国語が得意だと思っている人には自明に感じられることの列挙のように見えるかもしれませんが、むしろこれらを言語化し明示してくれているところにありがたみを感じます。また、この明示された読解の方法をもとにして、より文学的な文章や論理的な文章を楽しむことができる、研究を深めていくことができるという効果も期待できます。小手先のテクニックに頼らず文章に向かい合っていくための方法、思考の観点を学ぶという意味で価値があります。

もちろん、どのように読むべきかという話は、視点をひっくり返すことで、どのように表現すべきかという話につなげることができます。参考書としては「読むこと」の力を鍛えるものですが、読解の方法論・観点を意識的に使うことで、表現もブラッシュアップすることもできそうです。

問題集としては、解説が短すぎて不親切であったり、すこし小さくて見づらかったりするなどの問題もあって、今の受験生全員に勧められるものというわけではありません。ですが、充実した内容から、さらに自信をもって国語の問題を解きたい受験生のみならず、文章を読む力を身に着けたい大人に勧められる本かと思います。

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