タカシクエスト　第９章

タカシクエスト　第９章

上野ポリス、お前と最初に出会ったのは、僕がうつ病に冒されていた時だったよね…。

２０歳・６月。うつ病を治す為には、とにかく楽しいことをすればいいんじゃないか？
そう思った僕は、観光ガイドを片手にＪＲ上野駅付近にある武器・道具屋「ガタメキラ」に向かっていた。

上野に行くのは、保育園の時、遠足で、上野ジャスティス動物園に行って以来だった。

あの時、１匹の猿が僕をガン見していたのを覚えている。

あの猿は、僕に何を訴えていたのだろう？

当時、保育園児だった僕の脳内はカオス状態になった。

そして、その猿が僕をガン見している光景が、何度もフラッシュバックして、その後の僕の人生に影響を与えたことは言うまでもない。

それで、観光ガイドによればこの武器・道具屋は、豊富な種類の剣や回復アイテムを販売しているらしい。

それを見るだけで僕の心はルンルンになった。

上野駅に降り立ち、改札に向かって歩いていると、制服を着た警察官が視界に入ってきた。
警察官は２人いた。
１人は、小太りで髪がサラサラの男。年齢は３５歳くらい。
もう１人は、逆三角形の輪郭をしていてやせ型。年齢は２７歳くらい。
僕は、その警察官を見て思わず逃げるようにしてしまった。
警察官を見るとこういう心理が働くよね。
それで、それが原因で警察官に呼び止められる。人生初の職務質問のはじまりはじまり。

警察官は、僕のリュックを漁ってきた。まるでおさるさんみたい。
すると、飲み終えた缶チューハイの缶が出てきて、俺が路上で飲んだことを話した。そしたら何てことをするんだと驚いていた。

缶チューハイを飲むと、脳の血流が良くなって、発達障害の症状(ボンヤリフラフラした感覚)を一時的(２０分くらい)に抑えられるんだよ。

けれど、長期的な視野で見ると、アルコールが原因で、脳の血流は悪くなるんだよね。

だから、アルコールではなくて、ピクノジェノールやマカといったサプリメントで血流を良くした方がいいね。

それで、２人ともマトモそうな人だから、高校時代のノリで唐突に「ラリってる」「ラリパッパだ」とふざけて言っちゃった。
直前に実話マッドマックス系の本を読んだ影響なんだけれどね。

その後、小太りの警察官が俺が提示した保険証を持って、無線で何かを確認する為にどこかに行っちゃった。

その保険証にはこう書いてあったんだ。

有限会社福山。

そして身分は勇者。

これがその後の悲劇を招くことになるとは…。

２１歳・１０月。秋葉原でフィギュア見てカード見てケバブ食べてルンルン気分。
そんな気持ちで総武線に乗り込み帰宅。
錦糸町駅で快速に乗り換えてつり革に掴まっていると、何やら隣の車両から視線を感じる。
何かと思ってチラッと見ると、ドア付近に３人組のスーツを着た男が立っていて、その内の１人が僕のことを見てニヤニヤ笑っている。
どこかで見たことがある…あっ、上野駅で職務質問をしてきた小太りの警察官だ。
偶然会ったのかな？

数日後、再び秋葉原へ。フィギュア見てカード見てケバブ食べてルンルン気分。
そんな気持ちで総武線に乗り込み帰宅。
錦糸町駅で快速に乗り換えてつり革に掴まっていると、何やら隣の車両から視線を感じる。
まさかと思ってチラッと見ると、ドア付近に３人組のスーツを着た男が立っていて、その内の１人が僕のことを見てニヤニヤ笑っている。
数日前と同じパターンじゃねーか。
もしかして俺、警察にマークされてる？
家の中でイオナズンの練習をしていた件が伝わったのかな？

その後、このパターンが１２月までに３、４回あった。
完全にマークされている。

一体俺に何の容疑がかかっているんだ？　訳がわからない。

２１歳・１２月。高校の同級生であるボブ君、ジョン君、ロバート君、幻の銀次君の５人で津田沼の居酒屋で飲み会。
けれど整体の効果がとれていて、空気の読めない行動や言動をするウルセー状態。
というのも、野口整体と呼ばれる整体操法でＡＤＨＤの症状を一時的に抑えられることを発見したけど、金欠だから受けられなかったんだよ。
でも、高校時代、これで通用したからそんなの関係ねーべ。
けれど、飲み会が終わったらみんなブチギレ。
おそらくうつ病が完治していなくて、笑いのキレが今一だったことが原因。
高校時代は、空気の読めない行動や言動で周りを怒らせる→独特のユーモアで怒りを鎮めてプラスの評価にするって感じ。

新京成を利用する僕とボブ君とジョン君は気まずい雰囲気の中、松戸行きの電車を待っていた。
そんな中とんでもない野郎が現れた。
上野ポリスだ。奴は、片耳にイヤホンをしながら、ニヤニヤと笑っている。そして、手を伸ばせば相手の体に触れる距離にまで近付いてきた。

上野ポリスは、僕達と同じ電車に乗り込んだ。そして奴は前原駅で降りた。
それから、○○○駅で降りる際、ふと正面を見ると、高校時代の部活の後輩の女子が男と座っていた。