横になりたい今すぐに

12月31日　月曜日

共同ドミトリーのリビングが閉じた。ソファーで目を閉じて休めた数分前が惜しい。部屋から持ってきた財布、ノートとペン、スマホ、カフタイプイヤフォンでさえかさばる。

しばらく、なんとなくテレビのニュースを見たり、わらわらと入って来た子供連れの一行を眺めたりしていた。しかしついに、YouTubeでアニメやお笑いを流し始めてしまった。本は、今読むのに合わないものしか持って来なかった。山本七平の『日本教徒』、今読んだら気が滅入りそう。

食堂の水差しから一杯もらう。暖かい飲み物とお菓子、パンの自販機があるが、小銭が足りない。札を崩してくれば良かった。キッチンにあるナイフが惜しい。部屋で残り物の洋梨を片付けたのだが、支配人に断りを入れるのが面倒で歯ブラシのケースで剥いたのだ。

支配人が冷蔵庫からワインを取りに来た。去り際、good　night.　と言った。

ちょっとカチンッと来た。だが、思い直した。面倒くさがっているのはあくまで私だ。

女性限定の部屋を頼んだはずだった。相部屋相手のベッドにあった化粧水のボトルで早合点し、シャワーを浴びて自分の寝床で横になっていた。相部屋の相手は英語が流暢な男性だった。顔の系統は私と近かった。男は洗面所に入ってので、私はスーツケースとショルダーバッグから貴重品を取り、荷物をベッドの下に入れて共同リビングに下りた。

そうして今に至る。退出まであと三時間半。合板の椅子に座り、マフラーを枕代わりにテーブルに突っ伏した。

時間になったので、荷物を取りに部屋に戻った。男は寝ていた。わたしは部屋の電気を点けて荷物を片付ける。男が起きて英語で、スマホのライトでやってください、と言った。私は電気を急いで消した。

スマホのライト？　画面の明かりで作業するのか？　いちいち消えるから面倒だなぁ。スマホには懐中電灯の機能があるのだな。適当に探っていたら見つけた。

眠い…、体が怠い…。理不尽だけど、軽く抱く殺意…。いや、面倒くさがった自分を棚に上げない…。もしかしたら、向こうも気分を悪くしたかもしれない…。ろくにやり取りせずに部屋出たからな。

カードキーをフロントの籠に返して、ドミトリーを出た。

暗(くら)…………。青みがかった暗い道。点いてる外灯が見当たらないのに、うっすらオレンジや黄色の光が届いてくるのが不気味だ。

モンパルナス駅からシャルル・ド・ゴール空港への連絡バスに乗る。ふらふらな頭を支えるために音楽を聴きながら乗っていた。

空港についてからマクドナルドで時間を潰した。出国審査の後にギフトショップで土産を買った。

帰りの台北行きの便は混んでいた。行きの便は空いていて、三列シートなら横になって眠れたのにな。

13時間後、台北着。

食欲なし。空港のカフェで烏龍茶を買う。

3時間後、台北発。機内食を無視して寝る。

青森着。大雪で、安心した。落ち着く。

妹にコインが欲しいと言われる。妹、20セントコインを選ぶ。

空腹だが食欲なし。胃がキリキリして眠れないので、録画のおもしろ荘を流しながら居間の床に横になる。

妹と母は初売りに行く。父は上にいる。