【エッセイ】アメトーーク!のアニメ回の蛍原さん

アメトーーク!のDVDにハマっている。中でも、中学イケてない芸人とアニメについて語る回がゲラゲラ笑えて楽しい。

アニメについて語る回は、アニメに精通しているゲストの芸人さん方や司会者の宮迫さんがヒートアップしながら語るのも勿論面白い。

だが、その中でただ一人、アニメに疎い司会者の蛍原さんには、元気づけられる。

日常生活では繰り広げられる話題に疎い人は輪にすら入れない。ちょっとでも水を差すようなことを言ってしまえば、いないものにされる。

アメトーーク!では、疎いままそこにいてもいいし、しかもどれだけ初歩的な質問をしても答えてもらえる。理想的な時空間である。

面白いのは、第5巻収録の新世紀エヴァンゲリオン芸人である。

宮迫さんに微妙なエヴァンゲリオンギャグをパスされて、何のことか分からずに「今週オモンナイ……」と不貞腐れる蛍原さん。アニメ好きの相方さんの目の前で堂々と不貞腐れられるとは、羨ましい。日常生活では、きっと受け入れられないだろう。

そもそもエヴァンゲリオンが何か分からないと平気で答える蛍原さん。驚き、「そこから?!」とがなりながらも丁寧に答えてくれるオリエンタルラジオのあっちゃん達ゲスト芸人。日常生活、例えば大学のサークルならば、「あ、そう」と呟かれ、すーっと去られてしまうのに。

アニメ回の主役はゲスト芸人もさることながら、アニメに疎い蛍原さんも活躍するのだ。初歩的な質問や、アニメの世界観や設定にいちいち驚く蛍原さんは、ノイズであり、道化師であり、トリックスターであり、批評家であり、裸の王様に出てくる少年のようなおいしい立ち位置なのだ。

ゲスト芸人さん達も、ただ好き好きと宣うだけの消費者ではない。素晴らしい批評家でもある。魅力を伝えるために紹介するシーンは、視点が多角的で、没入も陶酔もしていない。

新世紀エヴァンゲリオン芸人回では、アニメをパロディーした演出も秀逸。中でも笑えるのはラストである。テレビアニメ盤エヴァンゲリオンのラストシーンに乗っかって、エヴァンゲリオンに興味を持った蛍原さんを主人公、碇シンジに見立てて宮迫さんとゲスト芸人さん達で拍手しながら「おめでとう」と讃える。

蛍原さんも乗っかり、「僕はここにいて良いんだね……」と遠い目をする。

じんと来つつ、吹き出した。

疎くても相手にしてくれるオタク仲間という幻想に思いを馳せるアメトーーク!鑑賞である。

ちなみに、機動戦士ガンダム芸人では宮迫さんもゲスト芸人と並んでヒートアップするので、蛍原さんの置いてけぼり感がさらに際立つ。しかし最後は蛍原さんがヒートアップした芸人さん達を見かね、観覧のお客さんをお帰しするというどんでん返しがあるので、胸がすく。オタクに置いてけぼりくらってばかりだった私の溜飲が下がるからだ。



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