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2022年12月の記事一覧

【掌編小説】星降る夜に【Side Y】

【掌編小説】星降る夜に【Side Y】

憎らしくて愛しい彼の顔を思い浮かべながら、私は胸元で輝くネックレスにちらりと視線を送る。喜びと切なさが入り交じった曖昧な感情を抱えながら、待ち合わせの駅前広場へと向かって歩く。今日は十二月二十二日。クリスマスイブにもちょっと手前の中途半端な日付だけど、私にとってはとても特別な日。

待ち合わせ場所に現れた智則はいつもの元気がなさそうだった。しきりに両手をこすりあわせて寒そうにしている。調子が悪いの

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