マガジンのカバー画像

Random Walk

288
執筆したショートストーリーをまとめています。
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

Calling

噂に聞いていたとおり、大通りから少し外れた住宅街の片隅に、その電話ボックスはあった。

そこはまるでぽっかりと穴が開いているような、街の死角のような空間になっていて、私もあらかじめ場所を聞いていなければ、そこに電話ボックスがあることに気がつかなかっただろう。私は通りの反対側からあたりを見回して、人がいないことを確かめる。悪いことをしているわけではないはずだけど、なんとなく誰かに見られたくはなかった

もっとみる