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愛なき世界

初の読書感想文を投稿したいと思います。
今回は 愛なき世界 著者:三浦しをんさん

まず、この本は表紙が美しすぎます。
暗めの青を基調とし、緑色の植物が美しく描かれていています。私はこの配色がかなり好きなためここでもうキュンとしました。
キラッと光る加工がされている絵も描かれています。

あまりの美しさに思わず手に取ってしまいました。本の帯に書かれている紹介文には「植物学研究者」、「恋愛」、「恋のライバルは草」の文字が。これらの文言に惹かれ即決で買いました。

このお話をざっくりまとめると
洋食屋の見習い藤丸陽太がT大の研究室へのデリバリーをきっかけに植物学を研究している本村紗英に出会い、一途に恋をする物語です。
藤丸は本村に会うたびに植物について教えてもらい、植物学にも興味を持つようになり、さらには植物について一生懸命研究したり、熱心に植物について語る本村に対して恋心が芽生えます。一方で植物にしか興味のない本村。なかなか交わらないこの恋の行方はどうなる?

恋愛模様だけではなく、研究室メンバーの変人ぶりも見どころです。
恋愛だけにフォーカスするのではなく、植物の研究のことや大学院生活、サブキャラたちもいきいきと書かれている物語なので、恋愛小説をあまり読まない私にもすっと読みやすい小説となっていました。

また、私は理系で生物学についても学ぶので、植物研究の内容も何となくわかり、実験のあるあるみたいなものも共感できて楽しく読み進めることができました。

この小説の魅力的な点は大きく3点あると思います。
①洋食屋の見習い藤丸君の純粋で一途な恋にキュン!
②植物学研究者を目指す本村さんの異次元的植物愛!
③研究室メンバーの植物への情熱!

ではでは詳しく話していきたいと思います。

①洋食屋の見習い藤丸君の純粋で一途な恋にキュン!

序盤に思わず本村さんに告白してしまう藤丸君。振られてしまいますが、本村さんのことを知れば知るほどどんどん好きになってしまう一途男子です。
恋もまっすぐで、料理に対する姿勢もとてもまっすぐです。好奇心旺盛でまっすぐでチャーミングな性格なので、いろんな人から好かれるような愛されキャラ。なので自然と読み手としては藤丸君をすっごく応援したい気持ちになります。
また、アプローチされる側に立ってみると、嬉しくてとろけてしまいそうだけど、少し補正フィルターをかけて見られているような感じがして、実際に現実を見られたときの反応を想像するとちょっと不安な気持ちになってしまいます。おっと、私のいけない部分が出てしまいましたね。次へ行きましょう。

②植物学研究者を目指す本村さんの異次元的植物愛!

本村さんはとにかくずっと植物のことを考えています。そして、植物を研究することが喜びであり、生きがいといった感じで、自分の人生の軸のようなものが確立されていて、とてもかっこいいなと感じました。私もこのような人になりたいです。
恋愛に対しては、もし、恋と研究を選択しなければならない局面に立った時に研究を真っ先にとると自覚しているので、恋愛をしないという徹底ぶり。まじめすぎますが研究者っぽいですね。
「趣味でも仕事でもひとでもいい、愛を傾けられる対象があることこそが、人間を支えているのではないか」という文にとても共感しました。
脳も神経もない植物は愛のない世界で生きていますが、その愛のない世界を対象とし、愛を注いでいる研究者など愛を注げる対象があるからこそそのひとは生きがいを感じることができるんですね。

③研究室メンバーの植物への情熱!

研究室メンバーはとにかくユニークです。細かい描写から脳内で映像を再生することができます。愛があふれるメンバーです。

この研究室メンバーの話で大好きな部分はクリスマスの話の部分で、クリスマスのことをみんな忘れてしまっていて、クリスマスと言えば育てているポインセチアがいつまでたっても赤くならず、クリスマスまで粘る予定だったが、箱をとったら、緑のままだったので、短日処理をあきらめた日だとして覚えているという話がとても好きです。そこまで植物なのか!とツッコミを入れてしまいます。

松田教授の過去の話は入り込んでしまうとかなりつらくて涙してしまいました。

研究に向かう姿勢では、決まったことだけをやるのでは面白くないから、偶然巡り合ったものを探求していく大切さも学びました。
この本を読むと早く私も研究をしたいな~という気持ちになり、思わず読み終わってから、大学から送られてきた実験資料を一気読みしてしまいました。

キュンあり、笑いあり、熱意あり、涙ありでとっても読んでいて楽しい作品です。
ぜひ読んでみてください。

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