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ある保護犬の死。コロナ禍のペットブームに思うこと

私は去年からある動物保護団体でお手伝いをさせていただいております。
そこで皆さんが言っていたのが、今年はかつてないほど子犬や子猫の保護が多いとのこと。
コロナによるペット需要で安易に犬や猫を迎えた人が捨てたのです。

鳴き声がうるさい
お散歩が大変
リモートワークじゃなくなった
恋人が生まれた
引っ越すからいらない
自分の赤ちゃんが生まれた 

ワンちゃんや猫ちゃんを家族と思っている身からすると、とんでもない理由で簡単に手放す人は多いのです。

でも今回棄てられた子犬や子猫はまだ幸せです。
棄てられたことは不幸ですが、こんな人間の元で一生を終えるよりも、保護団体に引き取られたほうがすっと幸運なのです。
ネットに写真を載せた途端お見合い希望者が殺到しているので、彼らが愛情いっぱいの新しい家族に迎えられるのは時間の問題。

その一方で7歳以上のシニアや病気の子たちはいつまで経ってもお声がかからない現実…。
シニアはまったりしていてシニアならではの魅力があるのですが、小さくて可愛らしい子犬や子猫が人気があるのですね。

そんなときはいつも、去年の年末に虹の橋に旅立った子を思い出します。
推定16歳。
 
大みそかに自ら決めたかのよう見事な旅立ち。

彼は柴犬らしい柴犬で孤高の武士のようでした。
 
つらいこと、苦しいことを山ほど経験したはずなのに、そんなことはまったく感じさせない誇り高きワンコ。
 
凛々しく生きぬき、決して人間に媚びないけど、根はやさしい。
私を含め、多くの人々を癒し、そして多くの人に愛されました。

私は3年以上前に保護団体のブログを通して彼と出会い、彼だけを愛してくれる運命の家族を待っていることを知りました。

そして去年、この団体に参加し、会えるのを楽しみにしていたのですが……

彼は寝たきりになってしまい、譲渡会に参加できない状態でした。
その半年前まではお散歩できていたのに……。

 
保護される前、彼には家族がいたと思われます。
  
迷子になって探さなかったのか、高齢になったので捨てたのか
過去に何があったのか
どんな暮らしをしていたのか
 
誰にもわかりません。
 
 
わかるのは、最後の3年間はとても幸せだったということ。
彼は愛情深い預かりさまのもとで家族のように愛され、大切にされました。

 
 でもずっとの家族と出会えるのが一番幸せだからと、譲渡会にも一時期は毎回のように参加しました。
 
若く、かわいい犬や猫にはどんどん希望者が集まり、次々と家族ができました。
 
年を取って、毛も白くなり、しかも病気持ちであった彼に希望者は現れませんでした。
 
彼を知るすべての人が、昭和の頑固オヤジみたいだけど性格は最高!といいます。
でも条件だけで彼を判断し、彼の良さを知ろうという人はいませんでした。
 
預かり様のブログを通して彼の可愛さを知った私は、本気で彼を迎えたいと思っていました。
でも体重17キロの彼はマンションの規約に反し、泣く泣くあきらめたのです。
 
彼が歩けなくなったと知ったとき、とても後悔しました。
どうしてもっと必死になって引き取る方法を探らなかったのだろう。
 
唯一の救いは、彼は私に迎えられるより、預かり様のところにいるほうがずっと幸せだったこと。
 
ステイホームでペット業界はいまだに大繁盛しているそうです。
同じく、保護団体が主催する譲渡会を訪れる人も増えています。
真に愛情深い方々が大半ですが、中にはペットショップで買うより安いからという理由でくる人もいます。

動物は人間を癒すためだけに存在する、生きたぬいぐるみではありません。
 
迎えるからには、年をとっても病気になっても認知症になっても、最後まで家族として愛情を持ってお世話する覚悟が必要です。
 
最近、国内外で民族の迫害や差別問題など、かつてないほど自分と異なる存在を憎み攻撃する事件が増えていることが悲しいです。

人間と動物が幸せに共存できる社会が実現しますように。         そのためにはまず私自身、できることを始めますね!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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