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阿部凌大
2023年2月3日 18:12
あれは確か、よく晴れた夏の昼間に、突然現れた夕立の後のことだった。 俺は夕立にさらされた洗濯物を取り込むために出先から急いで戻り、既に湿った服やらタオルやらをベランダから引き上げた。そして物干し竿の端っこに、何やら見覚えの無いものが引っ掛かっていることに気づいた。それは真っ白で、おそるおそる掴んでみると驚くほどにふわふわと柔らかい。持ち上げてみればそれはまたどこまでも軽く、部屋の中心に投げ入れ
2023年2月13日 17:01
その日もまた青い郵便屋から、青い封筒が届いた。 扉を開ければいつもと同じ彼が立っており、私にその封筒をそっと差し出す。私は唇から漏れる空気ほどの礼を呟くと、封筒を受け取り、玄関を閉めた。 その封筒に書かれた差出人の名も、宛名も、同じ名前だ。青空を切り抜いた封筒の色とは対照的に、窓から覗ける空は鉛色に濁っていた。私はゆっくりと封筒を開けると、中から便箋を取り出す。そこにあるのは二年前に書かれ、