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上手く語れなければ、人の話を聞きに行け

「自分を知りたいと思えばこそ、人の話を聞きにいく必要がある」  その言葉を聞いて、相手の言っている意味がわからなかった。

 僕は、自分の語りたいことがあるのに、それを上手く話せない状況をなんとか改善したかった。一般的な対処法としては、喋る練習をしたり、ノートにまとめてみたりが考えられるだろう。てっきりそうしたアドバイスをもらえると思っていたら、僕の尊敬する人は「人の話を聞きにいけ」と言った。

 話したいのに、聞きにいけ。
 なぜ真逆のことをしなければならないのか?

 すぐには答えがわからなかったけれど、やがて得心する。

 語りたいのに語れないのは、要するに「なにか」についてわかっていないのだ。わかっていないものについて、どれだけ頑張って言葉を尽くしても迫れない。
 だから、まずは知る必要がある。そのために人に聞くのだ。雑談でも対話でも議論でも、人の意見を聞くと、僕達はなにかを感じる。「ここは共感できるけど、別のことに関しては考えが違うな」と。
 聞いた人の数だけ、重なる部分と重ならない部分が出てくるだろう。そうしてできた、たくさんの半透明の塗り絵をフィルムのように重ねてみたら、自分が語りたかったものの形が浮かび上がってくる。
 認識さえできてしまったら、ほらもう語れるだろう。もしかしたら言葉は拙いかもしれないけれど、あとは練習するばいいだけ。

 話したいけど、上手く話せない。そういう時こそ人の話を聞きに行け

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