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魔女の宅急便と私

落ち込むこともあるけれど,
私,この街が好きです。

キキ『魔女の宅急便』(1989)

こんにちは!きりぎりすです。
お忙しい日々の貴重な時間をありがとうございます。

私は
初めての一人暮らしに悪戦苦闘した
ドイツの人から言わせてみれば,
圧倒的外国人,きりぎりすです。

そんな私が子供の頃から
大好きなジブリが
ドイツではNetflixで配信されています!

なんてラッキーなのでしょう!
早速観ましょう
『魔女宅』を。

という感じで,
本当に軽い感じで見始めた
こちらの作品ですけれども

これがまた刺さりすぎて
ボロ泣きできる代物だったわけです。

今回のテーマは,
初めての一人暮らしにぶっ刺さる私的懐古映画!!

そもそも内容どんなだっけ?


これに関しては本当は言いたくないです。
だって,
大人になったあなたに私と同じような気持ちを
味わってほしいから!!

ただまあ,
完全にゼロでここから感想を述べることは
富士山にビーサンで登るようなものなので,
申し訳ないのですが,ネタバレ含みます…。

魔法使いの見習いキキが
黒猫のジジを連れて
一人前になるために
一年間,親元を離れて
新しい街で修行することに!

その新しい街というのが
『海の見える街』なわけですよ。
もうあの曲が流れ始めて,
キキが空高く飛んでいくシーンなんて
もう涙なしでは無理。
だから歪んだ映像しか観たことない!
(言いすぎ)

パン屋を営む妊婦の女性に出会って,
そこで宅急便屋さんをすることに。

途中でもなんだかんだあって,
それを乗り越えたキキが
大人になっていくんですよね~。

それから
トンボという優しくて明るい男の子を,
飛行船を伴う危機から
魔法が使えなくても救うキキ。
(…なんかすみません)

というのが,
私の「魔女宅」でした。

エンディングとか
細かい設定とか
色々忘れちゃっていたんです。
だから,軽い気持ちで再生ボタンを押したわけですよ。

そうしたらどうなったと思います?

あまりにも号泣してしまった!


嘘だろ。

確かにそういう意見があると思います。
こんな文字でしか打たれていない画面で
「あまりにも号泣してしまった!」なんていう
過剰な表現があったら,
思わず左上の「戻る」をクリックしたくなるでしょう。

でもちょっと待って!!
全然嘘じゃないから!

もうね初っ端からでした。
というのも私の出発したあの日を思い出したんですよね。

日本を発つ日。
空港でお別れをして物の数秒で寂しくなって泣き,
でも飛行機内は楽しすぎてそのことをすっかり忘れて
ドイツに到着してホテルに着いた時に
寂しいことを思い出して再び泣くという
典型的なホームシックへの道!という感じだったわけですが,

キキの場合,
「きょう出発する!」と胸に希望を抱いて出発したは良いものの
ようやく到着した海の見える街で,
都会の洗礼を受けるんですよね。

それがなんとも重なりましたよ。

それから途方に暮れていたキキを
「オソノさん」というパン屋を営む妊婦さんが
好条件で部屋を貸してくれるんですよね。

それが私に
「自分の家の一室に住んでもいいよ」と
話してくれたドイツのおばあちゃんでしかなくて
これまたうわーーーーーってなりました。

私は一人で暮らすことに憧れていたけれど,
性に合っていないことが判明した時期でした。
そして,言わずもがなの円安。
そんな中でドイツのおばあちゃんは
物凄い好条件で泊めてくれることになったんです。

重なりますねえ。

そんな中で
たくさんの経験をし,学んでいるにもかかわらず
漠然とした不安に悩む段階がやってきたのです。
何者でもないし,何も持っていない私が
ただ「スキ」というだけでドイツにやってきて。

確かに学ぶことは本当に多いけれど,
それはきっと日本にいる人の感覚からすると
「何もしていない」ということになるのではないかという
いわゆる「不安」が頭の中を占領してきたのです!

私は絶対に今を楽しんでおくべきなのに
今更悩むべきではない内容を悩み始めるわけです。
あの時の私は完全に,
自分が分からなくなっていました。

なんと似たようなことが,キキにも起きるのです。
魔法がほとんど使えなくなった時に
「魔法が無くなったら,私,何の取り柄もなくなっちゃう!」
と言うんです。

私は映画を観ながら,
魔法使いとしてではなく
キキの素直さや一生懸命さが素敵だなと思い,
尊敬し始めていたわけですから,
「何の取り柄もなくなっちゃう」なんてこと無いわけです。

これを感じたことと,
それを母に相談して話せたことで
以下のように着地できたのです。

私はここで,
信じられないくらい多くのことを経験し,学ぶ事が出来ている。
そしてこの経験が,
これからの長い長い私の人生を支えてくれる。

あのタイミングでこの映画を観る事が出来たのは
本当にありがたかったです。

ありがとうジブリ。
ありがとう海外VPN。
そして,ありがとう母ちゃん。

ただ,
この漠然とした不安はその後も,
何度か顔を出してきたということは内緒にしておいて。

そんな中,キキがお母さんのコキリに宛てた手紙の中で
以下を綴るのです。

落ち込むこともあるけれど,
私,この街が好きです。

2度目だから出典を省略。(キキ『魔女宅』)

そう!!!!まさにそう!!!!!!


この映画には終始共感していたけれど,
この言葉をエンディングで聞いたときに
もうね,泣くとか超えて叫んじゃっていました。

もう成人越えているのに恥ずかしいねえ。

本当にそうだなと思います。
今のところ
うまくいかないことの方が
うまくいったことよりも遥かに多いけれど,
この街が好きなんです。

(余談ですが,「私」に助詞の「は」が入っていなくて
「私,この街が好きです。」なのが,
本当にそう…!!!ってなる個人的好きポイント。)

私がこの街に住むと決めたのも
キキと一緒でほぼ直感でした。

そしてほとんど全く同じ言葉を
私も母に言いました。てへぺろ。

Am Ende

今回はかなりの熱語りをしてしまいましたが要するに,

私たちは,人に支えてもらって
やっとこさ生きている!!


こんな風に
大人になってから見方が変わるのは
映画の面白さなのか
ジブリだから面白いのか
その辺は分かりませんが,
これからも安全に沢山のことを学んでいこうと思います。

今日の素敵言葉!

いつも笑顔を忘れずにね

コキリ『魔女の宅急便』(1989)

キキのお母さんのセリフ。
本当に大切ですよね,これ。

考える時間が多いドイツ時間だからこそ,
これを忘れずに
こんなにも素敵な時間を大切に過ごそうと思います。

精進しますね,コキリさん。

最後まで読んでくださり,誠にありがとうございました。

では,またお会いしましょう!
Auf Wiedersehen!

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