二人展《空はシトリン》|影山多栄子|白く、やさしい幻想
日常を生きていて、ふと「ここにはいない誰かさん」を思うことがある。
その「誰かさん」がほんとうに存在するのか、何者なのか——そういった問いはたぶん、あまり意味がない。でも、小さいとき「誰かさん」はいつも側にいて、もっと身近に実感していた気がする。
宮沢賢治『小岩井農場 パート9』は、こうした精神世界の友だちを唄った詩ではないかとわたしは思う。
影山多栄子氏はこの詩に現れる「ともだち」ユリアとペムペルを、人形作品としてみごとに表現されている。初夏に差し掛かる頃に降るやさしい雨のように、二人の白き幻影は、わたしたちにそっと寄り添ってくれるようだ。
「りすは横切る」と題された人形は、天真爛漫で無垢な表情が愛らしい。題材となった詩には、「色鉛筆」「すべる」といった多く言葉があることから、わたしには色鉛筆がキャンバスの上を縦横に駆け回り、ひとつの景色を生み出してゆく光景がふっと浮かぶ。
もしかすると、創作の手助けをしてくれる妖精って、こんな姿かもしれない。
人はなぜ人形に安らぎをおぼえるのか。
影山多栄子氏のつくる人形たちは、宮沢賢治の詩と組み合わさることで、この本質的な命題を解いてくれる気がしてならない。
会場風景写真|霧とリボン
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作家名|影山多栄子
作品名|わたくしの遠いともだちよ(ユリア or ペムペル)
肩まで石粉粘土・アクリル絵具・布・ポリエステル綿・ガラスペレット・ビーズほか
*何かにもたれ掛からせて座らせてください。
作品サイズ【ユリア】|身長29cm/座高18cm
作品サイズ【ペムペル】|身長28cm/座高17cm
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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作家名|影山多栄子
作品名|りすは横切る
顔のみ石粉粘土・アクリル絵具・布・ポリエステル綿・ガラスベレット・ビーズほか
作品サイズ|身長24cm/座高17cm(耳を含む)
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの画像を掲載しています
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