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わたしの性格は嘘が付けない

2年前から「赤のVネックセーターが着たい」と思っています。
冗談抜きで、ジーパンと合わせたスタイルで街中を闊歩したいのです。

そう思うようになったのはだいぶ昔の資生堂CMをYoutubeで見たから。
浅野温子(当時19歳)が着るスタイルがすごく格好良いんですよね。それより10歳離れた私でも見とれてしまいます。

BGMはエレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)の「Turn To Stone」。
このCMで曲を知り、一発で好きになりました。

普段あまり英訳を調べないのですが、CMでの浅野氏が放つ目力と立ち振舞に圧倒され「もしかしてこれは強い女の歌なんじゃないか?」と勝手にイメージしていました。
ところが英訳詞を読んでみるとこれまた不思議なもので、ひたすら「君がいないと石になっちまうよ、助けて!」と懇願しているんです。

英訳解説で一番しっくりしたのは下の記事。
昼と夜が繰り返されるうちに気分はすっかりブルー一色になったという考察がなかなか深いと思いました。

タイトルの英訳は「石に変わる」なのだそうです。
ポップチューンなのに歌詞はパニクってて、曲が使われているCMの映像は奪い愛。
浅野温子の見た目は強い女なのに、心はめちゃくちゃ傷ついている――何回か聴くうちに、妙に自分とリンクしていることに気付きました。

それを元にちょっとした小説を書いたことがあります。
そもそもの英訳から転じて、サブタイトルに「思考停止」と付けました。

曲にハマった当時、周りの実績を見ては嫉妬や焦りなどをガンガンに感じていました。煽られていた状況だったことも手伝って、自然と自己顕示欲が高まっていたのもあったんです。
それでも相手は結局のところ上手いし、いくら私がキレ散らかしたところでチャンスが降ってくるわけでもないんですよね。素直になれば楽になるのに、いざここで認めてしまったら自分の努力が無駄だと自白してしまいそうで。自分だってここまでやれているのにどうしていつも上を行くんだよ、という怒りも正直ありました。

私の性格は嘘を付くことができません。だから冗談が通じないんです。
おちゃらけようとも愛想笑いが精一杯。そこには子供時代のトラウマもあるかもしれませんが、ある意味「ピュア」な大人になってしまいました。

私は普通になりたい。変人扱いされることもなく、輪の中に溶け込みたい。でも「虹倉きり」に求められるのは、高いプロ意識で好きな道を極めること。
自責したい気持ちを押し殺して貪欲にやってみると、普通になりたい欲望は不思議とどこかへ消えるものです。

CMの浅野温子はこう言っています。

そう、私はだから――進まなくてはいけないんだ。

件の資生堂CMより

どれだけ傷ついても、変人だと馬鹿にされても、プロ意識を求められても、私は進むしかないんです。
今を生きるのはもちろんですが、他にできることはnoteでやっていることくらいしか胸を張ることができないんですよね。それがWebマガジンの執筆につながったりナレーションにつながったりする、面白い世の中です。

赤のVネックセーターは傷つきながらも強く生きる女の象徴。意外と同じデザインの物が売っていないんですよね……悲しい。
もし手に入れられれば、浅野温子のような目力強めのメイクを決めちゃって、何食わぬ顔をして出歩いてみたいですね。

というわけで「#わたしの登場曲」は、ELOのTurn To Stoneでお願いします!

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