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理想の父親

経験がないから想像で言うけど、中間管理職とは何とシンドイ仕事では無いかと思う。

私見と組織の意向が違うと最悪。

部下の意見に心で頷いているのに、組織の代弁者になる「股裂」はある種の拷問だろう。板挟みになるのはどんな立場でも嫌なもの。

仕事で管理職でないことは本当に良かったと思う。出世と無縁ならではの利点。仕事の愚痴を他から聞くレベルならハイハイと聞いて済むけれど、管理職として部下の意見を聞くのはきっと難しい。

年老いた母親が居て、2人の娘の親であるワシは中間管理職みたいな存在かもしれない。三世代の価値観を心に含んでおく必要がある。

母親も完全に…までは行かないまでも、かなり認知症が進みつつあり、エアコンがほしいからとカネまで預けておいて、こちらの手配が終わった後に、母親が近所の電気屋に頼んだと聞いて、慌ててキャンセルしたくらいに危なっかしい。

「お前が頼りだ」と言う割に、まだ自分が元気だった頃の感覚を持ち合わせている分まだマシかと思うけど、これはこれで困ったもの。

認知症は色々なところに端緒があると聞くが、脚が悪くなり社会との接点が激減したことが大いに起因していると考えている。

加えて一日中テレビを見て過ごす生活をすれば、アタマが働くこともない。弱るのはごく自然の成り行きか。

ようやくデイサービスで人と話す時間が増えたから少しは安心ではあるが、先々を考えると楽観などできない。

かたや、ワシ自身にも確実に年齢的な衰えは忍び寄っている訳で、今は娘たちに余計な世話を掛けたくないという想いが日増しに膨らむ。

父親は好きな酒を毎夜毎夜浴びるほどに飲み、好きな食べ物を鱈腹食って糖尿になり、脳梗塞を起こし、家族に散々迷惑をかけてからあの世に逝った幸せ者だったが、ワシはそんな幸せ者にはなりたくない。

かつて、幼かった長女に「お父さんが歳取ったら面倒見てくれるか?」と聞いたら、健気に「うん」と返事をしてくれたことを憶えている。思わず強く抱きしめたものだ。

最近、同じことを長女に振ったら冷静に、「できるだけ元気でいれるように頑張ったら」と返ってきた。

まあオトナになったなぁというのと同時に、ワシが20歳そこらの時に両親の老後をどう考えていたのか思い出せないことに気付いた。

少なくとも、自分の子どもに面倒を見てもらうのが普通とか当たり前とは思わないでいよう。

情とか義理には瞬発力はあるけど、持久力はない。

ワシだって、オヤジやオカンには感謝しているけれど、だからといって今の自身の生活すべてを犠牲にはできないし、したくはない。

昨日までピンピンしてエロい話ばっかりしてたのに…と通夜で悪口を言われるような父親になりたいと願っている。