乙女座満月の独り言
心が解放される、ドアを開けて空気を入れ換えたみたいな満月だった。ずっと想い続け、その構想やアイデアを温めていたら、それがあるときポッと花を開かせる、そんなこともわかったような気がする。書いてない時間も書いている、その言葉の意味を肌で感じたというか。
何もしてない、何も起こっていないかのように見える日常の中にも必ず何かが動いている。止まってはいない。前に進んだり後ろに下がったり、登ったり降りたり、何らかの運動がそこにはある。その微細な動きに心と身体を合わせてリズムを調えていくことが創作につながっているんだろう。
日々の営みの中から生み出される言葉には余計な飾りや意気込みがなくて、スーッと身体にしみ込む朝いちばんのお白湯みたいに、じんわり身体を芯から温めてくれる。
温度のある文章が書きたい。手触りや温もりや匂いがある文章を。読むことで風景や感触が立ち上がってくるような文章。
私にしか書けないものには、もうこだわらない。なぜなら、私が書く限りどうやっても、どうしようもなくても、そこに私が反映されてしまうことをもう知っているからだ。嘘は書けないというより、書いたものが嘘に思えるのなら、それは嘘なんだと。
流れに身をゆだねる、言葉に身を任せて書く。しなるように、ねばるように。
書きたいことをそっと温め続ける。
自分の言葉がやっと戻ってきた感じ。この感じは自分に安心を与え、寛がせてくれる。
今、自分の言葉に守られている、包まれている。
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書くということについて書く。
いつかの満月に書いた文章。
自分なりの「書く」に取り組み始めて、もう丸3年が過ぎた。
相変わらずゆっくりとした歩みだけれど、何かが変化し続けている。
書く場所、位相が変わった感じがする。そこには以前とは違う悩みもあったりもするけれど、それも書くことで乗り越えていけるのだと今の自分は知っている。
書く、そして読むことをとおして積み重ねて来た時間が心地良い重みになって自分を前に進ませていく。
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