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掌編小説【作戦】♯毎週ショートショートnote

お題「隊長職変死の椅子」

【作戦】(410文字)

「これが『隊長職変死の椅子』ですか…。入隊したからには『隊長』になる可能性はありますね」
「うむ。しかし誰かがやらねばならない。君にその覚悟はあるかね?」

王を守る近衛隊に入隊できることは、この上ない誉れである。貧乏士族の息子としては、入隊の推薦を断る理由はない。それにもし将来この椅子に座る可能性があるとしても、隊長なんてまだまだ先だ。と思っていたのに、僕はトントン拍子に出世してしまった。誰も隊長になりたくないので手柄を僕に押し付けたのである。

しかし僕には作戦があった。
この椅子には、初代隊長の強すぎる責任感の呪いがかかっている。『隊長』という職を変えようとする者を許さないが故に、隊長職から退こうとする者の命さえ奪うのである。迷惑な話だ。だから僕は言った。
「僕は正式な隊長職には就かず、『隊長(仮)』として職務を全うします」
隊長職に就かない者には呪いもかからない。
僕は無事に定年まで勤め上げ、優雅な老後を過ごしている。


おわり

(2023/1/28 作)

上記の『たらはかに』様の1/22~1/28のイベントに参加させていただきました☆
今回は初めて、裏お題に挑戦!
裏お題って難易度がさらに高くて…(;・∀・)想像力、もっと鍛えなきゃ~

おもしろい!と思っていただける記事があれば、サポートはありがたく受け取らせていただきます。創作活動のための心の糧とさせていただきます☆