掌編小説【疑惑】♯毎週ショートショートnote

お題「名探偵」「ボディビルディング」

【疑惑】(410文字)

「調査の結果がまとまりました」
「どうでしたか」
「少々手間はかかりましたが」
「お手数おかけしました」
「まず、三丁目の山田さん、鈴木さん、続いて二丁目の高橋さん。少し離れて隣町の一丁目の松本さん、木村さん。計五人の方と関係していますね」
「そんなに…」
「ええ」
「特に関係が深い人はいますか？」
「濃厚な関係にあるのは鈴木さんと木村さんですね。距離が離れているのでお二人と同時に出会う確率が低く都合がいいのかもしれません」
「そこまで考えているのでしょうか…」
「甘くみてはいけませんね…」

私は謝礼を渡して外に出た。ビルの入口には『名探偵ボディビルディング』と書かれている。
「ボディ氏は他の追随を許さない名探偵ぶりで自社ビルまで建てた」
と噂されていたのは本当だったのだ。しかも扱うのは飼い猫の別宅探しのみ。
それでビルが建つのかと思うが、今支払った額を考えれば十分あり得る。
私は首を振り、愛猫の心を取り戻すためにチュールを買いに走った。

おわり

(2023/2/12 作)

『たらはかに』様の2/12～2/18のイベントに参加させていただきました☆
でも、かなりムリがありますね…(;・∀・)
先週のお題のネコ感がほんのり残っていたものだから…
ボディビルディングなんて私の辞書にはないものだから…
ついでに筋肉もないものだから…
言い訳がましい。