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掌編小説【餃子】♯毎週ショートショートnote

お題「バイリンガル」「ギョウザ」

「餃子」(410文字)

かつて一人の偉大な人物がいた。
彼は敵対する国の言葉を自由に話すことができる唯一の人間だった。
彼の交渉のおかげで何度も戦争を回避することができ、彼はたいそう重んじられていた。
しかし彼がなぜ言葉を自由に操れるのかは謎であった。

「これも残り少なくなってきたな」
彼は行李から弾力のある固まりを取り出した。それは、耳のない青い猫が彼の家に迷い込んで来た時に置いていったものだった。
「のび太くんを探しているんだけど、ここにはいませんか?」
「子どもは見なかったよ」
「時代を間違えたんだな~。餃子さんごめんなさい。これお詫びに」
そう言って置いていったのが『ホンヤクコンニャク』だった。
これを少し食べるだけで、自然に相手の言葉を話し意思疎通できるのである。
無職だった餃子は、コンニャクによってバイリンガル餃子となり職を得ることができた。
餃子は、老子・孔子のように後世に名を残すことはなかったが、平和を長く保った人物として語り継がれている。

おわり (2022/11/22 作)

上記の『たらはかに』様の11/20-11/26のイベントに参加させていただきました☆
自分では、とても思いつかない突飛なお題…(;・∀・)
毎週、脳トレさせてくださってありがとございますー
美味しい餃子、たべたいな。

おもしろい!と思っていただける記事があれば、サポートはありがたく受け取らせていただきます。創作活動のための心の糧とさせていただきます☆