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掌編小説【あこがれ】♯毎週ショートショートnote

お題「クリスマス」「カラス」

「あこがれ」(410文字)

「どういうつもりだ」
朝食の席で父がぼくを見て言う。
「今日はクリスマスだよ」
「クリスマスなど関係ない」
父は頭が固い。
「でも今日はいつもよりごちそうじゃないか」
「それはそうだが」
「この方が気分が出るよ」
「まぁいい、さっさと食べなさい」
ぼくたちは、黙ってごちそうをパクついた。
チキン、チキン、チキン。パンとチーズもある。
その時、ぼくは背中に衝撃を感じた。

「何だよアレ、クリスマスカラス!」
父は飛び上がって、ぼくに石を投げた子どもたちを威嚇した。
「カァ!カァ!」
「怒ったぞ、逃げろ!」
父は追いかけて頭を突く。子どもたちは泣きながら走り去って行った。
「大丈夫か」
戻ってきた父がぼくに聞く。
「うん」
「早くそんなモノは取ってしまいなさい」
ぼくはションボリと、首に巻いていた赤と緑のキラキラしたモールをはずした。
「ねぇパパ、サンタさんはくるかな」
父ににらまれてぼくは黙った。

でも翌朝目を覚ますと、枕元に金色の星飾りがひとつ置いてあった。


おわり (2022/12/13 作)

上記の『たらはかに』様の12/11~12/17のイベントに参加させていただきました☆
華やかなクリスマスにあこがれを抱く子どものキモチを表現したいなと…
びんぼうなお家の子だった私もそうでした(*´ω`*)
枕元にあるプレゼントがどんなにささやかでも、うれしかったですねー

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