7月27日発売!『おうち学習サポート大全』はじめにを大公開!
きらぼし学舎代表の植木希恵の【初書籍出版】が決まりました!
特別に「はじめに」をみなさんに無料で公開します!
はじめに
私は、広島市で不登校・発達障害の子どもたちの学習指導・カウンセリングをしています。
公認心理師という国家資格を持ち、心理療法を基盤とした不登校・発達障害のお子さんを持つ保護者のカウンセリングを行ったり、オンラインでお母さん向けの心理学講座を主催したりもしています。
また、短大や看護学校で、講師として心理学の授業も行っています。
要望に応えていたら発達障害専門の学習指導者に
発達障害のある子どもたちとの出会いは、前職のカウンセリングルームが主宰するフリースクールでした。
フリースクールとは、不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設のことです。
当時(2000年頃)、発達障害は今ほどメジャーではありませんでした。
「育てにくい子」とか「指示が通らない子」といわれる子どもたちが、そこにはたくさんいました。
ずっとおしゃべりする子、全然しゃべらない子、ずっと動いている子、全然動かない子、気を使う子、気を使われているのに気づかない子。
みんなバラバラ、育ちも境遇も全然違います。
どの子も話をするたびに新たな発見があり、おもしろいなぁと思いながら接していました。
カウンセリングルームと並行して、20歳から始めた家庭教師を続けていたところ、いつの間にか口コミで発達障害と呼ばれる子どもたちのサポートが増え、そちらの仕事がメインになりました。
看板に「不登校・発達障害専門の学習指導」と据えたのは2016年のことです。
1対1のやりとりで「こうしたらうまくいく」を探す
発達障害のある子どもたちは、常識では「え?」と思うようなことをよく言います。でも、話をよくよく聞くと、その子なりの道理があり、納得できるのです。
そういう子たちの話はじっくり聞く必要があり、実際のところ学校のクラスのような「先生1:生徒大勢」のスタイルでは対応が難しいと感じています。
保護者のかたも「うちの子には一斉授業が合わないなと思って」とのことで、私のところにたどり着く場合がほとんどです。
1対1でじっくり向き合いながら、その子にとって最適な環境を探っていくと、「こうしたらうまくいく」がだんだんと見えてきます。
私1人で教室を運営しているので、関われる人数に限界がありますが、ほとんどの生徒さんが5年以上通い続けています。
小学校低学年から専門学校を卒業するまで来る子もいれば、中学1年生から通い続けて、社会人になった今は自分でカウンセリングを予約して支払いまでしていく子もいます。
どの子もじっくり時間をかけて、自分なりの「こうしたらうまくいく」を見つけていきます。
発達障害のある子は、興味のあり・なしで、やる気にムラがあります。「やらなければならないこと」に興味を持ち続けるのが難しいのです。
勉強はその代表的なものです。
本人も「勉強はできたほうがいい」と思っているのに、なかなか宿題に取りかかれない、集中して取り組めない、なかなか終わらない……。
この本の前半では、私がこれまで20年以上行ってきた子どもとの関わり方をお伝えしながら、おうちで勉強をするときの学習サポートのコツをお伝えします。
保護者の皆さんも、子どもの学習サポートをしながら最適な環境を探るうちに、「こうしたらうまくいく」が見えてくるといいなぁと考えています。
対象は発達障害のある子、診断はされていないものの学習に何かしらの困難を抱えているグレーゾーンの子、それからいわゆる定型発達と呼ばれる子まで含みます。
なぜなら、私自身が発達障害のあり・なしで対応を変えていないからです。
年齢は小学1年生から6年生をイメージしていますが、幼児にも中学生、高校生、大学生にも、もちろん大人にも役立つ考え方や方法ばかりです。
生きていくうえで知っておいたほうがいい考え方やコツをぎゅっと詰め込みました。
発達障害のある子どもを育てる人たちの不安
保護者の皆さんは、勉強がある程度できないと、将来困ることを知っています。
ですから、「好きなことをやっていればいい」「やりたいことだけやればいい」という最近の風潮にある程度同意しながらも、「それでも最低限の勉強はできないとね」と思っているのではないでしょうか。
そして、「やらないといけないから」だけではがんばることが難しいわが子を見て、将来を案じているのではないでしょうか。
皆さん、社会に子どもを送り出すにはどうしたらいいか、ものすごく考えていらっしゃいます。
子どもより先に自分がこの世からいなくなってしまうのだから、子どもが1人で生きていく力を持つために今できることは何か、真剣に考えていらっしゃいます。
そこで、努力することに向いていないように見えるわが子を見て、不安に駆られるわけです。
そして、「なんとかしなければ」と焦ります。
「社会で生きていけるように育てないと」とじわじわ追い詰められます。
私の教室に通う子どもたちの保護者のかたから「何歳まで見てもらえますか?」とよく聞かれますが、私は「本人が望むのなら何歳まででも」と答えています。
「親である私の相談だけでも継続したい」と言われることもあります。
周りに相談できる人がいないあなたへ
私は子どもへのサポートと同じくらい、保護者へのサポートを大切にしています。
保護者の皆さんは、誰にでも相談できるわけではありません。
相談したところでわかってもらえなかったり、中途半端な知識でアドバイスされてつらかったり、なぐさめられても逆にこたえたり。
何より、「先がなかなか見えない……」という状態にあって苦しんでいることが多いからです。
たとえ親であっても、子どものことが全然わからない、どう対応したらいいかわからないことって、本当にたくさんあるんですよね。
現代は社会が複雑化し、幸せに生きていくためにはどうすればいいかを誰もが模索している時代です。
生き方の見本がなくなって個人の責任が大きくなり、人生の舵取りはますます難しくなってきています。
発達障害のある子が、社会で「やらなければならないこと」に自分なりに向き合い、自立して生きていくために、周りの大人はどういうサポートができるのか。
この本の後半では、そういった話題にも触れています。
気軽に友だちに相談するのも難しい。
かといって、頼れる専門家が身近にいない。
そんな保護者の皆さんが、この本を読んで「こういう考え方をすればいいのか!」と気持ちが軽くなったり、「うちの子だったらこんなアレンジができそう!」とアイデアが浮かんだりするといいなと思っています。
いかがだったでしょうか。
おうちで宿題をする時間が苦行の時間ではなく、子どもを観察する時間になるといいなと思い、私の持ってるテクニックや子どもを見るときの視点を全部書きました。
発達障害・グレーゾーン関係なく、全ての保護者に読んでいただきたいですし、子供と関わるお仕事をされているかたにもきっとお役に立つ内容になっています。
もしよかったら、手に取ってみてくださいね。
植木 希恵
本編目次
編集者さんが本制作の裏側をnoteに!
編集担当として伴走してくださった”さぼってんさん”
制作の裏側と、この本の良さや想いをnote記事で公開しています。
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