見出し画像

「格差は心を壊す」読書メモ


この本の読書メモです。

格差が大きい社会は、格差が小さい社会よりも、健康や社会に問題があり、格差が大きいと金持ちでも幸せを感じにくくなる。なので、格差を減らしていこう。という本ですが、なぜ格差が問題なのか?人はなぜ比較してしまうのか?というようなことがいろいろ書いてあります。

一億総中流社会と言われた日本ははるか昔。小さなアメリカを目指しているような日本は、今後も格差は広がっていく。というのが近未来だと思うのですが、そんな社会は良くないよという事が多く書いてありますが、まあ、格差は広がるだろうし、よりギスギスした社会になっていくのではないかと思ってしまいます。

中間層の没落(AIなどでの代替)により、不用者階級(ホモデウスでハラリ氏が指摘)が増えてくる。r(資本収益率)>g(経済成長率)という証明をしてしまったピケティ氏。資本家サイドにならないと、格差はより広がっていく。社会がどんどん不安定になっていく、そしてポピュリスト政治家によって分断が進んでいく。。全体的には暗い未来ですね。

資本主義は格差がデフォルトにはなってしまうのと、貧困が相続されてしまうように、世代を経るごとに格差は拡大していくのだと思います。

どこかで限界が来ると、平等の四騎士(戦争、革命、崩壊、疫病)によって一度リセットされる。大枠としてはそんな感じでしょうか。コロナ禍という疫病でも平等は訪れなかったので、あとは戦争か崩壊でしょうか。日本では革命は起きなさそう。

東アジア情勢に巻き込まれての戦争か、日本円の信用失墜などでの国の崩壊が一番あり得そうですが、そんな暗い未来を予想しても楽しくないので、格差が広がっていくであろう前提で、どうするのが良いのか?まで考えてみたいです。

なぜ格差はだめなのか?

貧困は自己嫌悪を生む。自己嫌悪や恥の感覚は、引きこもりやうつ病などにつながり、一般的に自己効力感(自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知)を低下させてしまう。

周りも貧困ならまだしも、周りが金持ちで自分が貧困。自分のせい?という感覚は強くなります。能力主義などがそれを加速させます。ホントは自分のせいじゃないのにね。この社会システムが悪い!資本主義のせい。

地位低下の恐怖は人類出現以前の順位制時代にまで遡るが、それは現代の不平等社会でも強く生きている。

「バカと無知」という本で橘玲氏が下記のように述べています。

生存のためには他者と協働しなければならないが、生殖のためには他者を押しのけなければならない。これが、数十万年前から人類が直面してきた究極の矛盾だ。その結果、徒党を組んで敵と対抗する一方で、表向きは協力するふりをしながら裏では足を引っ張って、仲間を陥れて自分のステイタスを上げるという複雑な戦略を駆使するようになった。

バカと無知

納得します。地位を求めるのはある意味遺伝子レベルのデフォルトの機能なのかもしれない。そういった特性があるのを理解した上で、じゃあそれをどう制御するのか、そのバランスを取るのが人間ですね。

権力が重要なのは、それが生活の必需品や快楽、快適さを優先的に獲得できる特権であるからだ。

序列争いはゼロサムゲーム

権力争いをして、勝ちか負けかを決めるのは人類の宿命なのかもしれないですが、その結果、勝ち組、負け組などという品のない言葉も横行し、結果格差は広がっていき、負け組認定されてしまうと自己肯定感もなくぼろぼろになってしまう。

アドラーは不安感こそが人間であることの基本であると考えた。「劣等感」の概念を発展させて、「人間であることは劣等感を覚えることだ」と主張した。アドラーはまた、現在の統計が示唆するものを当時からすでに予想していた。つまり、人間の不安感への対応には2つの方法がある。

1つは臆病や自信喪失に陥り社交嫌いになること、もう1つはうぬぼれ、尊大さ、ナルシシズム、上流気取りに走ることだ。こうした優越意識は隠れた劣等感に対する防衛反応だとみなした。

劣等感を感じるから地位争いに走って勝ち組になり安心したいのか、地位争いに負けたから劣等感を感じるのか、はニワトリが先か卵が先かみたいな感じですが、劣等感は人間誰もが持っているとか考えると安心しますね。

不安になると、①引きこもってネットで社会の不満をぶちまけるか、②Mr.Trumpのような感じで自分最高、天才、みたいになるか、、、

どっちも嫌ですね。

劣等感が強い人ほど防衛反応も大きくなる。「人前では自分がいかに他人より優れているかをひけらかそうとする人がいるが、その裏側には人には知られたくない劣等感がある」

攻撃的で、自分がいかにすごいかを言う人はそれだけ劣等感があるということですね、そういった人(年収、権力、地位、学歴自慢、オレ最高)にあったら「すごいですねー!(いろいろコンプレックスがあるのかな、大変そう)」と優しく見守れるようになると心が安定しますね。

私たちは、自信を取り戻し社会生活でもリラックスできるためには、社会的地位や教育水準をもっと改善させて、金銭的に豊かになり、人の羨む充実した生活を送る必要があると思い込んでいる。

この人間がデフォルトで持っている不安感と拡大再生産を繰り返す資本主義の相性も抜群で、不安をあおり、もっと豊かに、もっと上を、というようになります。それに飲み込まれないようにする必要がありますね。

所得ギャップが大きくなれば、不安感が高まる。まず自尊心の低下や自信の喪失、うつ病によって、危険な状態に陥る人が出てくる。あるいは社会的な評価を保つために自己陶酔的になり、さまざまな自己誇示の行動を取ろうとする人も出てくる。しかし両方とも不安感の高まりが原因のため、薬物やお酒の摂取で自己治療を図ろうとして、見栄えを良くするための消費中毒に陥ってしまう。

うまく機能している社会は、高額報酬目当ての競争が比較的オープンである点に起因する「評価の不平等」と民主主義の市民としての地位から生じる「評価の平等」という精神との緊張のバランスを必ず取っている。

著者は格差や比較は誰のためにもならないということを述べ、その格差をなくせるのは民主主義がちゃんと機能することだ、と解決案を述べています。

まあ、そうなのでしょうが日本においては格差拡大を容認しそうな与党が貧困層にも支持されていると言う現状があるので、うまく機能はしていないのでしょうね。

じゃあどうするのか、、、難しいですが

①資本主義の仕組みを最大限ハックして、資本を増やしていく。
・NISA活用や、大企業の無料サービスなどを無料で使いまくるとか、でコストを抑えて資本を増やすというのはやはりやっていかないと厳しいな、と。。

②お金に頼らなくても大丈夫な生活スタイルや仲間や繋がりを少しずつ構築していく。
・物々交換や電力自給、食料自給などもできると安心しますね。

③学びや経験を経ることで安定した状態を保てるようにする。
・お金や地位で過度に不安にならないメンタルがあると楽ですね。

まあなるようになるし、なるようにしかならないしぐらいで考えるのも一案ですね。そう思って日々くつろぐ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?