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限界就活生だった話

※これは当時の苦しい気持ちを吐き出したものです。嫌なことを思い出させてしまうかもしれないので、ご理解の上読んでいただければ幸いです。


無機質な大阪のとある会議室で、おっちゃん2人を前に私は背筋を伸ばしていた。

「今までで1番の挫折ってなんですか」

この質問に当時、限界就活生だった私は

「今です」

と少し考えて答えた。これまで挫折らしい挫折を味わうことも無く、納得して進路を選んできた。しかし、就職活動は何に対してもしっくり来ず、迷走する時間が続いた。興味のあるものでないと長続きのしない私は、少しでも志望動機の筆が進みそうであれば応募を繰り返し、当てずっぽうもいいところ。それでも興味に全力投球できる性格から、自分でも読んでいて熱くなる志望動機を書けていたし、書類の通過率は高かったんじゃないだろうか。

最初は知らない仕事の話を聞けて、ワクワクしてた説明会やセミナーも回数が増えるにつれて全く集中できなくなっていた。何よりも周りの就活生のメモをとり、積極的に質問する姿勢を見て自分にそんな熱意がないことを後ろめたく感じていた。(今思うと別段みんなそんなものだと割り切れる)

そして、ゴールデンウィークを過ぎたあたりに壊れた。

具体的にいうと、涙が止まらないのだ。就活の話をすると涙が溢れてきて、なす術がない。面接が近いこともあって、キャリアセンターの面接練習を受けていたが、質問に答えようとすると例の涙が込み上げてくる。

「もう少し元気にやってみようか」

こんなことを言われたのは人生で初めてだった。そんなふうに見られていることに、また情けなさが覆い被さってくる。面接練習の後、放心状態で大学内を家路に向かっていると普段気づきもしなかった張り紙を見つけた。

『なんでも相談室』

誰かに聞いて欲しかった。地方から出てきて、一人暮らしをしながら就職活動をする人なんて山ほどいる。私にもできると思っていた。しかし、この時期ほど孤独を感じたこともない。吸い込まれるように、人気のない通路をとぼとぼ進んだ。扉の前まで来て、躊躇なく開いた。50代くらいの女性と目があった。

正直この後のやり取りは記憶にない。予約制であるということ。でも30分くらいなら話が聞けると言われたこと。中に通されて、ソファに座って、今の気持ちを一切合切ぶちまけた。もちろん号泣である。ひとしきり話を聞いた女性は

「今はそんな時期じゃないのかもね」

と言った。時期という言葉の真意がすぐにわからなかったが、進むスピードもタイミングも人それぞれであるということと勝手に解釈した。

新卒一括採用。早期選考会。将来のキャリアビジョン。社会人とは常に向上心高く駆け抜けて行かなかればならないのか。社会に出る前にもうヘトヘトだ。実際、マラソンも短距離走も大っ嫌いだ。歩こう。走ってたら見えないものもあるし(走らないと得られないものもある)、出会えない人(同じ様に歩いている人とか)も景色もある。どうしても走りたくなったら息切れしない程度に走ってみればいい。

幸い、私の周りにはとことん話を聞いてくれる家族がいて、気晴らしに山や川を見に行ってくれる友達もいる。感謝しかない。


最後にこれだけ。

誰かに話すことが心をうんと軽くしてくれるかもしれないということ。走り続けることだけが正解じゃないということ。

そして、就職活動をする皆さん。本当に尊敬します。働きたいという気持ちが尊いです。結果は良くも悪くもただの結果だと思っています。その時の、あなたの心地良いペースで進んでください。時々、休憩をしながら。


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