温たいむ3弟について

私には、3つ歳の離れた弟がいる。弟も私らと同時期に結婚した。私や夫とはまた違うベクトルで正反対の性質を持っており、密かに憧れている。特別運動や勉強ができるというわけではないが、人間は、とにかくそういうことではない。弟は人柄がいい。学校の先生にもとにかく好かれてきたし、弟のお嫁さんの家族でもお気に入りな存在になり、親戚付き合いもうまくやっているようだ。小さい頃は私の友だちに混じって遊び、よく笑わせてくれていた。あまのじゃくな私は、小さい頃はニカッと歯を見せて笑うことができない性格だったが、父やそれを受け継いだ弟は人前でも堂々と芸ができるし、腹から声を出して挨拶できる。昔は彼らと行動を共にすることが恥ずかしく思うこともあり、他人のフリをかますこともあったが、今ではそれがどれだけ尊いことか、社会に出て、結婚して、子供が産まれてますます思うようになった。私の息子が弟のように育ってくれたらと切に願う。気難しい夫婦から産まれているので、考え込みすぎないように、朗らかに。
そんな弟は私以上に繊細な一面もあり、私が社会人になって家を出て一人暮らしを始めた頃から(もしかしたらそれよりもっと前から)人知れず慎ましく勤勉になった。就職活動も部活もバイトも、いつのまにか私以上に真面目に取り組んでいた。人に好かれる分、溜め込むストレスもあるのだろう、たまに実家に帰ると母から「そういえばあんたの置いていった本、借りていい?って聞かれたから渡したよ〜」と言われどんな本を借りていったのかと思ったら、精神科医の書いた「一日誰とも話さなくても大丈夫」だった。たまにうちを覗いてくれるが、その時は大抵朝の8時から27時まで働いていると言う。そんなわけで、私が病んでいた時に読んだ本を手に取った弟のことは、結婚しているので安心している反面、心配もしている。

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