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若手アナリストがウェブサイト改善の書籍に携わった話

はじめまして。井上清貴(@kinoue0108)と申します。
ウェブサイトやスマホアプリの分析から改善まで行う、いわゆる「ウェブアナリスト」という職種に従事しています。

先日6/29に、自分が共著者として執筆した書籍「コンバージョンを上げるWebデザイン改善集(マイナビ出版)」が無事出版されたので、記念としてnoteを始めるに至りました。これからよろしくお願いいたします。

お蔭様で本書籍は初動からとんでもない勢いで多くの皆様の手に取っていただいており、Amazon売れ筋ランキングのWeb構築・管理部門で2位を頂戴したりしました。圧倒的感謝。

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本noteでは、僕自身の軽い自己紹介と、どういう経緯で本書籍を出版するに至ったか、書籍の裏話などを中心に書いていこうと思います。

しばしお付き合いのほどよろしくお願いします。

新米ウェブアナリストから書籍執筆までの経緯

僕のやっている「アナリスト」は、「ウェブサイトに訪れるお客さんの動きを定量的に可視化して分析し、どんな行動に変えてあげたらビジネス上のゴールを達成できるのか考える職種」です。

でも実は大学では分析の「ぶ」の字もしてませんでした。

弁護士を志して法学を学んでおり、学校にもバイト先にもライブハウスにもコール飛び交う居酒屋にも六法全書を持ち歩くような人間でした。大学で統計学なんて学んでいませんでしたし、高校の時は数学が嫌いすぎて毎日の授業が絶好の睡眠日和でした。

そんな六法全書を持ち歩くキャンパスライフも結局あまり勉強せず、バンド活動をするかニコニコ動画を観るしかしてなかったので、法科大学院は全落ち。弁護士は諦めて就職活動するに至りました。ニコニコ動画にドはまりしていた経緯から、「インターネットなんか面白そうだな」と思い、新卒で自社のウェブサイトを運営する会社に就職するに至ります(この話をすると大抵の人に笑われます)。

ウェブディレクターとしてキャリアをスタートさせたはいいものの、当時めちゃくちゃ口下手だったうえに、ウェブ用語はほとんど分からなかったので、上司やエンジニアさんとほとんど会話できず、プロジェクトが全く進まない毎日。

「このままだとさすがにヤバイな…」と思い、自分の武器を身に付けなきゃと焦っていたこの辺りで、Googleアナリティクスに出会います。

「データはウソをつかないから、口下手な自分でも人を説得できるかもしれない」。そんな些細なきっかけから、周りに詳しい人のいなかったGoogleアナリティクスを独学で覚え、その面白さにどっぷり浸かって現在に至ります。

ウェブアナリストとしてある程度経験を積み成果を出せるようになり、この仕事をもっと極めたいと思い始めた昨年春頃。「いつかは自分の溜めた知見をどこか形になるものとして残したい」と思うようになりました。

そんな折、前職の株式会社UNCOVER TRUTH在籍時、別部署のマネージャーから「ウチの改善事例を書籍にする企画があるんだけど、書きたい人いる?」と募集がありました。チャンス。大チャンス到来。すぐに手を挙げました。

そこから共著者の井水大輔さん(@ImiDai)とマイナビ出版の編集者の方を繋いでいただき、本書籍の企画について伺いました。そして二つの理由から、「この書籍は自分が人生かけてやりたかったことの一つだ」と確信に至りました。

具体例から学ぶ重要性

一つは、僕がずっと新卒から独学でウェブのことを勉強するに抱いていた「ウェブサイトの設計・改善についての事例少なすぎない…?」というモヤモヤがきっかけです。

ウェブサイトをどうやったら改善すればいいか分からない時は、「ウェブサイト 改善 方法」とかでググることでしょう。でも、大抵は「考え方」だったり「手順」だったり、基礎や概念に終始する記事ばかりでした(まあ実際は基礎がめちゃくちゃ大事なのですが…)。

考え方って、言われてみるとなんとなく頭では「そうかな…?」と思えます。でも人間って意外と身の回りの事例とかに置き換えられないと、実際に腹落ちできない

例えば「このページはユーザー目線に立って改善しろ!」と言われるより「君が『4Kテレビ 激安』とググってこのページが出てきた時、必要な情報って見やすいかな?激安商品が知りたいのに価格が見にくそうだから、商品情報の見せ方を変えてみない?」と言われた方が、しっくりきます。

だからこそ、具体例を踏まえてウェブサイト改善の思考プロセスを学べると、デジタルマーケターとしてもっと成長できるんじゃないか、と考えたわけです。

僕は社会人1年目でウェブディレクターをやった時は「このページなんか悪い気がするんだけど、どうやって変えたらいいか分からん…」と毎日のように頭を抱えてました。考え方について言及しつつ、「例としてはこんな事例があってね…」みたいな書籍が欲しい!でも、ない…。じゃあ俺が作るか…!?とぼんやり思っていたりしました。

本書籍の企画は、当初から一貫して「実際のウェブサイトでの改善事例から、どういう思考プロセスで改善すべきか学べる書籍を実現する」というものでした。正直、こんなに多くの事例を掲載している書籍も相当珍しいと思います(事例掲載の許可をしてくださった企業の皆様、本当に感謝です…)。

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その意味で、今回のような書籍に携われることは、自分が新卒時代から抱いていたモヤモヤを自ら吹っ飛ばせるのでは?という点でめちゃくちゃ魅力に感じた次第です。

ウェブサイト改善の『必殺技』をまとめて残したい

もう一つの理由は、この世にある「ウェブサイト改善の『必殺技』」をどこかにまとめて残したかった、というのがあります。これだけだと「必殺技ってなに…?ウルトラマン…?」となると思うので、もう少し具体的に説明します。

ウェブサイト改善を何年か経験して感じたのは「これやれば大抵のウェブサイトでCVRが改善できる」みたいなお決まりの施策がチラホラあることです。

もちろん、ウェブサイトで扱う商材や抱える課題によっては、合う施策合わない施策があるのは大前提です。しかし、どのユーザーもウェブサイトを使うにおいて似たような悩みを抱えており、他のサイトでの改善事例を真似するとユーザーの動きが変わってCVRが伸びたりします。

今回の書籍のChapter2「改善Tips」で紹介した「閲覧履歴で回遊を促す」はまさにそれに該当します。ECサイトで効果が出やすい「閲覧履歴の接触向上」は、ユーザーが同じ商品を何度か見ると気になっちゃう心理状態に上手くフォーカスした施策です。事実、僕も一度見たPanasonicのビストロ(電子レンジ)をAmazonで何度もレコメンドされて、ついに先日買ってしまいました。罪深い。

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ただ、そういう効果の出やすい「必殺技」みたいな改善施策は世の中にいくらでもあるはずなのに、まとめて教えてくれるものがあまりない(気がする)。「ウェブサイト 改善」でググって「必殺技」がまとまった「秘伝の書」みたいなものが出てくれば絶対欲しいと思うのにな、と新卒時代からぼんやり思っていました。

今回の書籍のお話をいただいた時、同じく共著者で元同僚の菊池達也さんと「事例として載せられない施策も、この本で上手くまとめられたら面白い本になるんじゃない?」という話になり、実際に担当さんと相談した結果、本書籍のChapter2「改善Tips」が出来上がりました。

そうやって皆でアイデアを出し合って「ウェブサイト改善の『秘伝の書』」の構想を作り上げていったのも、今回の書籍を完成させたいと思えた理由の一つです。

たくさんの武器を持ってフィールドに立ち続ける

何度も言うようで恐縮ですが、サイトによって合う施策、合わない施策はもちろんあります。

しかし大事なのは、他社の事例を知った時に「じゃあウチのサイトで当てはまるのか」と自分の中で噛み砕き、イケると思ったら実際に施策を打ってみて結果を見る、そして次に活かすことです。

バッターは打席に立たないとヒットを打つチャンスすら与えられません。だからといって、むやみやたらにバットを振りまくっても空振りしてしまう。「多分こうしたら打てるんじゃないかな」と予想を立ててバットを振り、上手くいったらそれを続ける。上手くいかなかったらその理由を仮説立てて別の振り方を試してみる。

ウェブサイトも似たようなことが言えます。「ユーザーはこう考えてるだろうから、ページをこう変えたらCVRを改善できる」という仮説を最初に立てて、実際にページを変えてみる。成果が出た出ないを問わず、「何故こういう結果になったのか」を自分なりに考える。成果が出たら別のページも同じような方向性で改善すればいいし、成果が出なければ出ない理由を考えて「もっとこうしたらいいのでは」と別の施策に繋げる。

そういうサイクルを回し続けることで、成果に一歩ずつ近づけます。

ただ、そもそも何をしたらいいか分からない、だからサイクルが回らない。そういう人も多いはず。だからこそ、この書籍を書いた意味があります。

自分と同じようにウェブサイト改善に頭を悩ませる全国のデジタルマーケターみんなが、たくさんの武器を持ってフィールドに立ち、施策を回し続けられる世界になる。そして全ウェブサイトがハッピーになる。そんな貢献ができたらいいなと思い、本書籍の執筆に携わりました。

まだお手にとっていない方は是非とも。



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