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陰陽道閑話(時々違う話)

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かつて別のブログサイトで掲載していたものを加筆修正して、こちらに再掲載しております。 なお今回からは、以前の読者さまからの提案に甘えさせていただき、一部記事は有料にさせていただ…
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〈無料版〉陰陽道閑話~陰陽道は何処から来て、何処へ行ったのか【第6回】

〈無料版〉陰陽道閑話~陰陽道は何処から来て、何処へ行ったのか【第6回】

令和の安倍晴明と「晴明説話」ー求められる”新しい陰陽師像”通常の「閑話」シリーズ、すごく久々な件

 前回まで書いていた特別篇「安倍晴明」シリーズ、足掛け3年もかけて書いていた事に驚いております。
 ようやく正規の「陰陽道閑話」シリーズに戻って第6回となります。よく考えてみれば「安倍晴明」シリーズも個々に回数としてカウントすればよかったなぁ・・・。

今回の題材は「令和の晴明説話」-大河ドラマと映

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (7)-1  [最終回]その1

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (7)-1  [最終回]その1

 ずいぶんと長らくお待たせいたしました。なんと2023年になってしまいました。予定では2021年中になんとかするハズが、2022年をまたいで年が明けてしまいました・・・。
 毎度ながーい文章を書いているので、そろそろ「まとめろや」という所でしょう。特別編である「安倍晴明」はこの第7回で一旦終わらせたいと思いましたが・・・これまた終われる気配もないので第7回を2つに割りたいと思います。今回は「最終回

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無料記事 陰陽道閑話【特別編】安倍晴明 シリーズ引用・参考文献 一覧

無料記事 陰陽道閑話【特別編】安倍晴明 シリーズ引用・参考文献 一覧

【参考文献/使用書籍 一覧】2023.10.15更新〈史料〉
藤原実資『小右記』       
     (岩波書店『大日本古記録』/臨川書店『増補 史料大成』)
藤原道長『御堂関白記』     (岩波書店『大日本古記録』)
藤原忠平『貞信公記』      (岩波書店『大日本古記録』)
藤原師輔『九暦』        (岩波書店『大日本古記録』)
藤原行成・藤原経信『権記/帥記』 (臨川書店『増補

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (7)-2  [最終回]その2

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (7)-2  [最終回]その2

 もういい加減に終わらなければならない「陰陽道閑話」番外編の「安倍晴明」特集。足掛け3年目という過去に例を見ない大長編になってしまっており、読者の皆様には誠に申し訳ありません。

 ただ、「安倍晴明」という人物を見ていく際、晴明ひとりだけの人生を見ても彼の存在意義、何故に突出した存在となったかを考えるのは難しいなぁ、と思うのです。
 安倍晴明という人物を見るには、彼の活躍した平安時代中期における陰

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (6)

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (6)

 ようやくの投稿となります。前回からずいぶんと時間が経ってしまいまして・・・失礼いたしております。
 さて、本年が生誕1100年であったことから集中的に書いてきました「陰陽道閑話」の番外編、安倍晴明特集もそろそろ終わらせとかなければなりませんね。

 まったくの新参者であり、年齢的に遅咲きであった安倍晴明が陰陽道の世界で急成長を果たしたか。それについて書いている途中でしたね。その続きから書いていき

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (5)

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (5)

 またまた長らくお待たせいたしました。生誕1100年を記念して、特別編として安倍晴明を特集してまいりました。今回はその5回目。恐らく次回が最終回になるのかな、とは思いますが……とりあえず話を進めて行きましょう。

 安倍晴明は歴史の表舞台に出るのが遅かったために、功績は晩年に集中しています。その中から特筆すべき出来事を、前回の後半から話しておりますね。その続きです。

【泰山府君祭と追儺ー新例創出

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安倍晴明(4)で使用した史料について補足

安倍晴明(4)で使用した史料について補足

 先日投稿した「陰陽道閑話【番外編】安倍晴明(4)」で使用した、『権記』長保二年十月十一日条について、掲載した史料写真と、その次に記載した書き下し文とが一部対応していなかった事、また書き下し文にも誤読が一部あったので補足しておきます。

★掲載写真の補足

 本来はこの2枚を掲載して書き下しを掲載すべきところを、2枚目の写真だけを掲載しておりました。

★「書き下し」の補足

 上記の書き下しにつ

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (4)

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (4)

 予定より長引いております「安倍晴明」シリーズ。一つの事を掘ってみると意外と色々なものが見つかってしまい、さらに色々なところへつながっている(可能性がある)ようなものもあって時間軸が進まずスイマセン・・・。ですが、40代で歴史の表舞台に登場した安倍晴明は60代以降から本格的な活動を始めるので、年表的には短いのですが、一つ一つの事が深く、いわゆる概要的にザーっと見る訳にもいかないので(番外編で特集し

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (3)

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (3)

 お待たせいたしました。ようやく続きとなります。なんだか妙に色々と用事があって、気が付けば5月も中旬になりました。陰陽道閑話の番外編として安倍晴明を特集して書き綴っております。今日はその3回目。40代で歴史の表舞台に登場した晴明の後半生、具体的にいえば天文博士に再任された頃の話からスタートしていきます。

 その前にひとつ訂正。前回の「安倍晴明(2)」の中で、晴明が陰陽師に昇進したのは霊剣鋳造の際

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (2)

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (2)

 長らくお待たせいたしました。引き続き、番外編として安倍晴明に注目していきます。前回までは陰陽寮での学生時代から陰陽師になった所までのお話でした。今回は言わば「現役時代」と呼ばれる時期・・・陰陽師を経て天文博士となった晴明の活動を見ながら、いろいろと考えていきたいと思います。

【天文得業生から陰陽師へ】

 安倍晴明は応和元年(961)に陰陽師となりました。これは前年の天徳四年(960)の内裏大

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陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (1)

陰陽道閑話~【番外編】 安倍晴明 (1)

 陰陽道閑話シリーズは、基本的に陰陽道の歴史を通史的に見ていきながら、そこに色々と情報をいれながら説明をしていく…というスタイルでやっていますが、今回はちょっと脱線をして、一番有名な陰陽師である安倍晴明に特化して書いてみようと思います。
 今年、2021年は安倍晴明生誕1100年のタイミングになりますし、この際改めて晴明を解剖してみたいと思います。

まず最初に、出自と経歴を概観しながら説明を挟ん

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陰陽道閑話~陰陽道は何処から来て、何処へ行ったのか【第5回】

陰陽道閑話~陰陽道は何処から来て、何処へ行ったのか【第5回】

 長らくお待たせして申し訳ありませんでした。今下流行の新型コロナウイルスのおかげで色々な事に変更が求められ、それがどんどん終わることなく続いて行ってしまったために、こうして改めてひとまとまりのものを書く時間が持てませんでした・・・。

 10月に再開すると言っておきながら結局は2020年も押し迫った大みそかにようやく「陰陽道閑話」の更新となりました。もう一方の「フィールドワーク記録」で、いわば”お

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陰陽道閑話~陰陽道は何処から来て、何処へ行ったのか【第4回】

 前回は陰陽師で唯一、大陸に渡った人物である春苑玉成をご紹介しました。玉成は大陸に大陸に渡り、日本の陰陽寮が抱えていた問題を、少しでも解消しようと情報を集めて帰国しました。この事からわかるのは、少なくともこの時点では、陰陽道・・・ひいては「陰陽寮」が職掌とする各技能は、大陸の諸思想(特に道教や儒教)の影響を強く受けていた段階であったという事が分かるのであります。

 その後、陰陽道は我が国の事情に

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陰陽道閑話~陰陽道は何処から来て、何処へいくのか【第3回】

                           
  はい。なんとかお送りする事が出来ました3回目。
 前回のお話のおさらいをしておきますると、現在の陰陽道研究において「そもそも陰陽道誕生の発端は?」と言う部分は継体天皇期の「五経博士の渡来」や、推古天皇の時代の「百済僧・観勒の来朝」とされがちであるという所について、私はこれは古すぎるのではないかと思う・・・という事をお話ししました。
 もち

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