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ひとり出版者になるということ。(4)

11/1が「本の日」ということは、世の中でどれくらい知られているのだろうか。先ずはその日に合わせて発売することを考えたが、ちょっと間に合いそうもない。それだったら、111よりも1111の方が多く本が並んでいるみたいだよなぁと思い、11/11をDVDブックの発売日とすることとした。そして、発売リリースを9月終わりに出すことにした。
DVDブックのモノとしての形が見えてきて、スケジュールも決まったところで、再度トランスビュー工藤さんにご相談。しかし、最新の受託料金を伺ったところ、2年前より大幅に値段が上がっている!どうしよう!流通の委託をお願いすべきかどうか迷いながら、とりあえずISBNを取得する作業を進めることに。ISBNを取らねば、書店やアマゾンで販売することが出来ない。ISBNの取得が出版者となる一歩である。ISBNを取るには、出版者として登録する電話番号やメールアドレス、住所が必要になる。これもフリーランスとしては色々悩みどころ。代理で引き受けてくれるサービスも色々とあることがわかったが、ある意味、これは出版者となることの覚悟を試されているような気もしてきた。HPやロゴも作らねばならない。これも慌てて依頼。自力でやることを決めると、実際の取得作業は思った以上にスムーズで、10冊まで出版できる登録費用は2万円(税別)。書籍JANコードも登録料を払うと、あっさりと送られてきた。おお、これで出版者になったのか!と何だかワクワク。コードが決まると、今度はそれを裏表紙にどうやっていれるのか、手持ちの本を引っ張り出して研究。意外と色んな違いがあって面白い。

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大体の原稿が整ってきたが、監督の追加インタビューだけがなかなか出来なかった。2年前にインタビューをしているものの、やはりこの世界的なコロナ禍の中でどんな暮らしをしているのかは聞いておきたい。10月終わり、ギリギリのタイミングで実施。8ヶ月前に日本で監督に会ったことをきっかけとして本格的に動き出し、期せずしてコロナ禍の中でDVDブックを発売することになったのは、不思議な運命を辿ってきたこの映画ならではだったのかもしれない。嬉しいサプライズも飛び出し、そんなことを感じさせるインタビューだった。下記写真は2年前のロケ地近くでのインタビュー時のもの。

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何度もシミュレーションをした結果、トランスビューさんに取次を委託するのは難しいという結論に至る。1冊しか発売予定のない出版者には、取次システムは贅沢だと気づいた。いつの日か、出版点数が増えた時にはお願いしたいという目標はできた。しかしそうなると、自力で流通させていくしかない。大変だー!と思う半面、書籍の流通を身を以て体験できるのは楽しみでもある。とりあえず、すぐにお願いできるアップリンクの劇場ショップでの販売や『100日間のシンプルライフ』公開劇場でのミニブック販売はもちろん、使えるコネはすべて使って書店に売り込んだ。北欧本を扱っているひるねこBOOKSさん、代官山・湘南・名古屋みなと蔦屋書店さんなどでの販売が決まった。

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関東の独立系書店にメールやFAXを送ったが、ほぼ回答ゼロ。門外漢がバレバレなのか、厳しい現実。映画の流通がいかに限定的だったのか、書籍流通の広い海を今更ながら思い知る。それでも、発想を変えてDVD販売店にも依頼。インディーズのお問い合わせ窓口から繋がったディスクユニオンさんでも扱って頂くことに。そして、トランスビューさんが全国の書店に発送する冊子に情報掲載をさせて貰うと、早速、大阪のスタンダードブックストアさんから発注が。ずっと行ってみたいと思っていた本屋さんだったので、嬉しい。これから旅に出たら、映画館だけでなく、本屋さんを訪ねる楽しみが出来た。映画は映画館では期間限定商品だが、本は長いスパンで売っていける。ゆっくり、試行錯誤しながら、出版者の端くれとして歩んでいきたい。

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