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子ども時代の古事記体験

古事記にはじめて出会ったのは小学生だった。
書道の授業だけ担当してくれていた、ゴロー先生という初老の先生だった。

先生がお手本を書いてくれるのは、水だけつけた筆で、サラサラっと書いてくれる特別な板。その筆捌きが美しくて、見惚れていた。
その先生の話し方もとても穏やかで、聞き惚れた。

奈良の甍。いにしえの物語が近くにある土地。

皆んなが早く課題を終えたら、先生が話をしてくれる。
だからこれだけ終えたら、話が聞ける!と思ってみんな黙々と課題をこなし、
片付けも終えたら、
教室の前に置いてある筆洗い用のバケツを廊下の水道に捨ててきて、
全員席に着いたら紙芝居のようなゴロー劇場の幕が上がる。

よく分からない名前の登場人物が出てくる話でも
物語を真剣に聞いていた。
ヤマタノオロチとかサルタヒコとか
なんだかおんなの人だかおとこの人だかわからない名前も沢山出てきた、ということくらいしか記憶にはないのだけれど。
それでも、ゴロー先生の不思議な古事記のお話をみんなでしーんとして聞くのが好きだったなぁ。
小学生の頃、みんな物語を聞くのが好きだったんだなぁ。

なんていう思い出。

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