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人生のお休みをしてみる

ちょっと前に人生のお休みをした。
大したことはしていない。ひとりでふらっと外泊しただけだ。
そこのホテルがとても素敵だったので紹介しようと思う。


夏から病気とか病気とかいろいろあってちょっと気持ちが疲れていた。ひとりになりたかった。自分が年をとったせいか、あるいはしょっちゅう超高齢の親と会っているせいか、心配なことはないはずなのに周期的に

「自分は来年の桜は見られるのだろうか」

という気持ちになる。
今やりたいことをやっておかなければ、その内と思っているうちに病気になり死んでしまうかもしれない、と不安になるのだ。

幸い、一人になれるタイミングがあったのでその状況に甘えることにした。
一人になれても体調が不安定だとメンタルの方が「やばいやばい」と叫びだし外出どころではなくなる。体調はだいたい、胃腸の気持ち悪さがMAXになるか、身体の緊張が続き呼吸が苦しくなるところから悪化する。今回はどちらも大丈夫そうなので出かけることにした。家族の理解があってありがたい。

泊まったのはこちら、ランプライトブックスホテル札幌。

旅行でもなんでもなく市内に泊まるってすごく贅沢だが平日ならそこそこの価格である(いま宿泊料金ってどこも高いからね)。お風呂は外せないのでちょっとだけ高い部屋に泊まった。

coo・ma、つまりクマの部屋だ。
料金の一部が温暖化で絶滅危惧種になったシロクマのために動物園に寄付される。ホテルのホームページに部屋の写真が載っているけど、デスク上にもこんなクマがいる。SDGsを意識しましょう、ということで。

顔のモデルは札幌で生まれ、今は旭川の旭山動物園に転居したピリカさん。


このホテルは狸小路にあるのだけれど、歩いていると本当にたくさんの観光客がいて驚く。今はシーズンオフじゃないのかな。それぞれの国にそれぞれの旅行シーズン(休日シーズン)があるのだろうか。
中国系らしい人々の団体がいくつもお土産屋さんで買い込んでいた。でもあれは爆買いというレベルじゃないな。日本の団体ツアーが土産物屋に誘導されたのと同じ感じ。ヨーロッパ系の人々は群れないで自分たちだけで歩いている。アジア系に見えるが何語だか全くわからない言葉を話している人たちもいた。

それに狸小路、知らない間にたくさんホテルが出来ていた。この街に住んでいるのに前回来たのは2021年。来札したnote友だちと一緒にブラブラしたのが最後だ。地元民なんてそんなもの。

あのたくさんの観光客達はこの辺に泊まっているのだろうか。狸小路は3丁目と4丁目が繁華街に近い。そのあたりは人でごった返すほどなのに6丁目あたりからは人通りもさほどではなくなり、お店はやっていけるのだろうかとちと心配になる。アーケードがあるからかオープンテラスの店が目立つ。オープンテラスというか気分は屋台。ここで毎日飲み歩いたら楽しいだろうな。もちろん冬場は寒いからお店の中でね。
一軒一軒どれも入ってみたいが今回はひとりなのでパス。こういう所はやはり人と一緒に来たい。

大通公園では9月いっぱいオータムフェストをやっていた。

これもコロナ禍でなかなか開催できなかったもの。札幌はミュンヘンと姉妹都市なのであちらのオクトーバーフェストを模したのか。規模は夏のビヤガーデンと同じでこれでもかこれでもかというほど店が並び、平日なのにそれなりにお客は入っていた。たくさん店があるので目移りする。結局歩いただけで何も買わず帰ってきた。ここも人と一緒に来たい。ひとりではちと落ち着かない。


とは言うもののひとり大好き人間なので、一人でお泊まりは本当にうれしい。こういう時間が5年に一度くらいはないと息が詰まってしまう。人間関係が悪いわけではない。何の理由もないのだけれど無性に一人になりたい時がある。たぶん、人が誰かそこにいる、というだけで情報量がいや増すのでシャットアウトしたいのだろう。目の前に人がいて仲が良いのにシャットアウトはしづらい。それで誰もいない誰も知らないところでぼんやりしたい、と感じるのだと思う。

さて、今回は本当に一人になって本を読んだり日記や雑記やnoteを書いたりするために宿泊を選んだ。このホテル、入口がブックカフェになっていて、宿泊客は売っている好きな本を自室に持っていて読むことが出来る。(持って行く時にはフロントに声をかけてルームナンバーをチェックしてもらう)

ブックカフェ自体は結構賑わっていた。入口に近いあたりが旅にまつわる本の棚、奥のホテルフロント前がミステリーの棚。このブックカフェは「旅」と「ミステリー」がテーマなのだ。
「ミステリー」の方は読み出すと止まらないし神経が高ぶって夜眠れなくなるので、最近はあまり読めなくなってしまった。でも「旅」の方に読みたい本がたくさんある。あれも、これも。「旅」そのものだけでなく、各地の美術館や建築についての本、自然とその変化についての本などに混じって本屋さんの本が何冊か。こういうのが好きなのよね。まずこれを借りました。

外国語は読めないのにそれでも行ってみたくなる

大きな書店って自分にとっては素に戻れる貴重な場所で、ふだん読まないような棚まで一つ一つ見て歩き、どれを読もうか何が面白そうかと考えるのが楽しい。同様に図書館も。本棚の間をブラウジングする時の楽しさは何物にも代えがたい。だから紙の本が好きなのだ。
このホテルはブックカフェにある新刊書を部屋に持ち込んで良く、気に入れば買って帰ることが出来る。「ちょっと見る」ことができるってすばらしく有難い。

最初の方で「奮発した」と書いたが、通常のスタンダードルームはバスタブがなくシャワーだけである。クマさんの部屋は洗い場付きのバスルームがあって、それがこの部屋を選んだ理由だ。バスソルトも何か持ってくれば良かった。お風呂にゆっくり浸かり、シャンプー類もそろっていてリラックスできた。

マイナス点を挙げれば、風呂椅子がなかったのよね。(追記 後で聞いたら風呂椅子はフロントに言えば貸してもらえたらしい) あと、クマさん部屋はクマの歯ブラシをサービスで付けてくれるんだけど、それには歯磨きがついていない。フロントでもらえる通常の歯ブラシセットには多分ついているから、ここは盲点だった。
さらに狸小路という立地上、部屋の窓からは隣のビルの壁しか見えない。これは仕方ないと思う。窓のブラインドは終始閉めっぱなしだった。それが嫌な人はもう少し繁華街から離れたホテルを選ぶと良いと思う。自分は本を読んでまったりするために行ったわけで無問題である。

朝ごはんもつけた。シンプルなスープがおいしくて本当はおかわりしたかった。できるんだろうか? ダメかな?

パンは数種類の中から2つ選ぶとこのように出してくれる。卵は半熟。
珈琲は森彦(札幌の有名珈琲店)のもの。

レイトチェックアウトだったので11時までゴロゴロと部屋で本を読んだりnoteの下書きを書いたりしていた。昨夜の「世界の本屋さん」を返し、別の本も借りた。こういう所で借りるのは物語よりも、ビジュアルが多い画集や写真集が多い。時間内に全部読んでしまいたいと思うからかな。

スケッチの方はとても初心者に描けそうな感じではなかった。
でもこういうスケッチをしてみたい。習ったらできるようになるだろうか?


結局昼からは職場に戻って仕事したんだけど、なんだか良い休日だった。
リフレッシュできた。自分という人間は、人と会わないで一人で過ごすことで本当に休まるのだなと実感した。

また行こう。

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