国際結婚はキラキラしているという嘘
スイスに住み始めて3年目。
移住前の海外生活のイメージと、スイスで3年生活した現在の海外生活を比較するとやはりそこには歴然とした差がある。
この差は一体どこからきているのか?自分にも分からない。そして、別に分からなくてもいいかなとも思う。
経験のないことをイメージするのは誰にでもあって、そのイメージが現実とそぐわないことなんて実は日常茶飯事なのだから。
それが私にとっては国際結婚という過程を通して直面せざるを得ないケースだったということで、イメージと現実の違いは、他のどんなことであっても起こりうることなのだ。
海外生活をしている人への憧れ
私は幼い時から、両親の趣味である旅行に頻繁に付き合わされていたこともあり、海外というものが特に遠い存在ではなかった。いとこや親せきもアメリカやフランスで生活していたこともあって、休みになれば海外旅行をするのが恒例だった。
自分自身は海外生活に対する憧れというものはさほど強くなかったが、幼い時から海外で生活している人は、
自分の夢を追いかけ自分の人生を生きている。
自由な生活を手に入れている。
という思いは常にあった。
英語というものに興味を持ち大学でも英文学を学び、イギリスにも留学に行ったが、その時の動機は
一度しかない人生、時間のある時に行きたい国に行き生活をする。
そして世界中に自分が大好きだと思える友人の輪を作りたい。
という思いであった。
もちろん英語も必死に勉強したが(何よりアメリカ英語で育った私にとってイギリス英語を理解するのに本当に時間がかかった。)とにかく、他の国で育った人たちを通してその国の文化を知りたい。そして一人一人の価値観や考え方について知りたい。という思いが強かった。たくさんの友人を作ってはいろんな話をして、当時私は大学生ではあったがその時も尚、他人の考えと自己の考えを比較し自分を見つめなおし、自己のアイデンティティを形成しようと必死だったのである。
自分のやりたいことが出来る環境に身を置き、なんの責任も不必要な状態で留学できていた当時の私はその言葉通り、自由奔放な生活を送っていたのである。
その時に今の旦那と出会ったのだが、まさか自分がその旦那の出身国スイスに将来移住することになるとはその当時は思ってもいなかった。
しかし、もし今後また海外で生活できる機会があったら、楽しそうだなぁとは思っていたのである。
私は地方出身なため、周りで海外留学をしている人も少なく、英語が話せることや留学をしていたことを、すごいね。と言ってくれる人が多かった。また就活をする際もアドバンテージがあったため、留学をしただけでなんだか大きな人間になれたと信じ込んでいたのである。
実際、その信じていたものに裏切られることもなく無事自分の当時の夢だった仕事に就くことが出来てしまった。
今振り返ると、この時自分は
努力すればなんでも手に入れることができる
と思っていた。努力できる環境があった、その見えていなかった環境を見過ごしていたが為に、スイス生活で苦労することになるというのは全く気付かなかったのである。
語学が出来れば大丈夫。という考え
留学をして大きな人間になった気になって、夢をもつかんだ私はそろそろ結婚の時期かな~とほんわか思っていた。
遠距離恋愛も4年が過ぎたころにプロポーズをされ、土日休みもなく働き心も身体もボロボロになっていた私はこの環境からとにかく離れたい、と、スイスに移住することを決心したのである。
またあのイギリスの生活に戻れるのか~なんて思ってはいたが今度は学生でもないし、主婦にはなりたくないと思っていたので英語を使って会社に就職できたらなぁと思っていた。ドイツ語も勉強して3か国語が話せたらどうにかなるだろうと、低すぎる見積もりをしていたのである。
移住後ドイツ語をC1まで勉強し(泣きながら勉強していた)さぁ就職活動をしようと思い募集のサイトを見て心が折れた。
スイスという国はフランス語、ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語が国の公式言語となっており、学士を持っているスイス人であれば英語、フランス語、ドイツ語の3か国語は少なくとも話せるという超ポテンシャルの高い人材ばかりが勢揃いの国だったのである。
フランス語が話せない私にとっては本当にこれは不利で、また職種も経験が無いと雇ってもらえないので全く就職活動が進まなかったのである。
日本のように英語が出来れば就活に有利だ。というような構図ではなく、
3か国語以上できて修士があって、その修士までに学んできたことを実践できる分野で戦える力。
が必要だったのである。
スイスというのは言わずもがな、お給料が世界の中でもダントツで高いということもあり(時給は最低2200円)世界中からこれまた優秀な人たちが集まってくるわけです。
英文学を勉強し英語が話せることがアドバンテージと思っていた自分の概念がくつがえり、すべてがこの国で標準以下として扱われるようになった自分を受け入れなくてはいけないことに相当時間がかかりました。
自分が今の自分を受け入れられない
この状況が本当に長く続きました。
そもそも、努力できる環境があったからこそ頑張れた、周りから認めてもらえる環境があったから頑張れていたのだと気づき、これまでの自分の行動は一体誰のためだったのか?考えないといけなかったのです。
まさにこんなはずじゃなかった。と。
仕事が出来ないことで収入がないことで学歴がないことで、こんなに揺らぐ思いというのは一体何なのか。それは今でも明確には分かっていませんが、とにかくこの他者からの承認欲求を求めるのはやめようと思ったわけです。
主婦、子なし、アラサー。
自立するにはまだまだ、旦那の収入がないとやっていけない移民。
という事実を受け入れて前に進もうと思ったのです。
いいじゃん。誰も気にしてないよ。気にしているのはあなただけ。
そして、そんなことをわざわざ気にしてくる人に私の人生の時間を費やしている暇はない。と思うようにしたのです。
どんなに辛くても自己実現だけは諦めてはいけない
今、海外生活で辛い人も、絶対に自己実現だけは諦めないで。
私は
自分がなりたい人間像
をきちんと持てたことで本当に気持ちが楽になりました
他者からの承認欲求を求めてしまうというのは逆にいえば、
他人よりも出来ている。だから自分は大丈夫。
と思う気持ちです。
そこにはもちろん人を見下す感情も入っているかもしれないし、私は特別なの、と思いたい気持ちが含まれていることもあります。
過去の私も正直、受け入れたくないけど結局根本はそんな気持ちがあったのだと思う。
そこをとにかく直したいと思った。
・人にやさしい自分
・他人と比較し劣等感を抱えるのではなく、その他者の努力を自分の頑張るエネルギーに転換できる自分
・旦那と一緒の時間を楽しめる自分
・自分を否定しない自分
・何かに夢中になって頑張れる自分
まずはこのなりたい自分像になれるように行動してみました。
勉強が嫌いじゃないから、とにかくドイツ語の勉強を続け今後は大学院進学が出来るように今は頑張っています。
海外生活3年目にして、ようやくこっちでのゴールを決めることができたこの記念に、今後の自分を鼓舞出来るためにも今の気持ちを綴っておきたく書いてみた。
国際結婚はキラキラなんかしていない。それはSNSの世界だけ。
皆、ドロドロになりながらも必死にもがいて、自分なりの幸せを見つけようと頑張っているんだ。
皆で頑張りましょう。
私はこの難しい状況を乗り越える。
あなたはどう乗り越える?