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多様性のある社会で求められるスキル

こんにちは。

今日はスイスの大学院で出会った国際豊かなメンバーたちとの出会いを通して感じたことを綴っていきたいと思います。


学科のメンバー

私はベルン大学というスイスにある大学の社会言語学科を専攻しています。
この学科は修士のコースしかなく、文学言語系出身の学生がほとんどの割合を占めます。

学部では人種問題、マルチリンガリズム、バイリンガリズム、社会正義、ステレオタイプ(Indexicality, Iconisation)、標準語主義、、、などなど、社会と言語が関連している事象について勉強をしています。

学科の特徴としては他の学部に比べてスイス出身の学生が少なく国際色豊かなメンバーが揃っていることかと思います。

かくいう私ももちろん、インターナショナルStudentにカテゴライズされるわけで、外国からこの学科に来て学んでいる生徒の特長としては、わざわざヨーロッパにひとつしかないこの社会言語学科で学びたいことがあるから来ているという明確な目標があるので、スイスって文系は少なくとも修士ないと就職できないし、修士やってるんだよね。みたいなスイス出身の生徒(言い方悪すぎですが)とはちょっとモチベーションが違ったりします。






しかし、そんな彼らもスイスで仕事を得るためにとにかくここでのアカデミックな経歴が欲しいという目的がある人も多いです。

スイスにはワーホリの制度が無く、ビジネスビザを個人が取得するのはかなりハードルが高いので生徒としてまずスイス社会に馴染んで、そこから就活をするという生徒も中にはいます。

私もこのインターナショナルな生徒たちともちろん関わっていく中で、自分って本当白人と同じくらいには特権がある立場なんだと思わされることが多いです。(もちろん現在の時点では白人が社会構造的には一番利益を得られる世界ですが)



彼らを会話をしていると


・スイスに住むにはどうしたらいいのか
(結婚して外的要因で住んでいる私とはまずポジションが違う=スイスじゃなくても最悪日本で生活できる)

・スイス国籍を手に入れるにはとりあえず10年は住まないとって話
(ここでいつもYouは?スイス人と結婚してたらすぐ国籍もらえるの?とか聞かれて、いや確か5年同じカントンに住まないともらえないし、日本国籍はく奪されちゃうからスイスの国籍取るつもりないんだよね。=母国がかなり好待遇のパスポートを支給してくれてる)

・奨学金の金額が今年からまた減ってしまう
(奨学金で学校に行っていないので問題ない=金銭的な心配事が一切ない)

などなど、自分が心配をしたことがないことがテーマにあがりそれについて皆話をし始めるのです。

我が大学の学費はスイス人であれば年間1200フラン程度、外国籍の生徒であれば2200フラン程度で日本の標準からしてみたらもはや大バーゲンセール並みです。





しかし、先ほども述べたようにスイスに来るのにまずは学生として来るという選択をしている友人の中には、母国が政治的問題で荒れていて危険を感じる、母国で自分たちの人種コミュニティが迫害されている。などといった背景を抱え学生生活をスタートしている人もいます。もちろん彼らは今後ヨーロッパで生活することを目的としているので、私みたいに、日本に帰りたくなったら帰ればいいや~☆みたいなフワフワ野郎とは、この生き残る力というのが全く違うんですよね。



もちろん国際色豊かな彼らとコミュニケーションを取ることで、彼らの人間性から学ぶことがあったり、世界で起きている問題を現地の人から聞くことができたり、とても刺激的なのですが、話を聞いている側としては地雷を踏まないようにいつも最新の注意を払う必要があります。



例えば

クリスマス何するの~?
 Me>日本帰って家族で過ごすかな~、自分は?(関西弁で、あなたは?という意味です)
スイスで過ごすかな~
 Me>なんで?家族と過ごさないの?
親がシェンゲンビザ持ってないからまずスイスには来れないし、私も飛行機のチケット買う余裕が無くて
 Me>あっ。。。(え、ならクリスマス何してるのとか聞かないでほしかったな。。。)

ということが割と何度もあるので、最近はもうなんで家族と過ごさないの?とかいう馬鹿な質問をするのを辞めようと思い会話を中断することが増えました。

後は会話の節々に

・パートナーがスイス人だもんね(だからビザとか簡単だよ根みたいなニュアンス)
・(彼らの政治的問題などのテーマになった時に)日本出身だから分からないかもだけど(すごいいい国と思われている)


などといったコメントがポロっと出るところに、生まれた社会によって生じている不平等を痛感させられることが多いです。もちろん、スイス人とビザが欲しくて結婚したわけじゃないのでそこはコメントを添える時もありますが、彼らもそういった意味で言っているわけではなく、ただ単に彼らからしたら必死に手に入れたいものを既になんの苦労もなく(生き残るという意味で)手にしている状態というのは正直羨ましいものであるかとは思います。



こうして書こうとすると結局どんなことに注意を払っているのか分からなくなるんですが、こういうことに注意して会話を進めれる術がこれからの社会のスタンダードになっていくと思っています。


多様な人が暮らす社会で生きるスキル

スイス人って本当に人に興味ないよねって思ってたけど、今なら分かる。多様性のある社会では会話のどこに地雷があるか分からないから細心の注意を払って会話をする必要がある


特に特権社会で生きている私たち白人は、この豊かな資産のあるスイス社会を誇りに思い、不平等な立場にいる人達を救わなければならない(そんなに壮大に思ってないかもだけど)というような自負を抱いているプライドの高いスイス人たちのように、日本人としてもその特権意識に気付いて自然と自分の発言がどこか上から目線になってないか気を付ける必要があるとひしひしと感じています。


G20やG7のメンバーである日本と言う国は、政治家はもう意味不明な人達ばかりですが(コラ)、世界の社会構造を作る側の立場にある国だし、作られた社会でどうその不平等を生き抜くかの選択に他の国に比べると全く触れないで生きることのできる特権のある国です。


もちろんその国で育った日本人も必ずしもそのような特権を持って生きています。

この、特権意識をまずはしっかりと持って世界の人と関わるべきの立場の人間だということをしっかりと、もっていたいと日々感じる今日この頃なのでした。




チューッス



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