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熱海の土石流災害を起こしたのは、豪雨ではなく森林破壊

土砂災害は“見える”森林破壊

2021年7月3日、熱海市の土石流災害の衝撃的な映像が流れて3週間ほどが経ち、どうやら豪雨による天災というよりも上流の森林破壊による人災の実態が明らかになり始めています。
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土石流が発生した伊豆山逢初(あいぞめ)川の上流域では、森林伐採による盛土造成、無断伐採、残土処分、産廃処分などが違法に行われており、このうち盛土造成した土地の土砂を含む5万㎥以上の土石が沢添いを幅120m、距離1kmに渡って流れ下り、大きな被害をもたらしました。

この土地は2006年に取得後、届け出と異なる違法な状態で伐採されたことから森林復旧の文書指導が出され、一旦植林されました。2010年に新たに始まった盛土造成の工事中に木くず等の産業廃棄物がみつかり工事が中止され、その翌年に個人に所有権が移転され現在に至っています。
届け出されていた盛土量は3万6千㎥ですが、実際の盛土量は5万㎥に達するのではないかと見られています。土地造成が目的ということで申請されていますが、残土処分や産廃処分のためだったのではないかとも疑われています。

森を忘れた都市暮らしがもたらすもの

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2020東京オリンピックを契機に東京都心部では大規模都市開発のプロジェクトが至るところで進められており、それに伴い残土が大量に発生しています。
静岡県副知事の記者会見では、今回の土砂災害に関連して「静岡県の林地開発に関する規制は隣接する神奈川県よりも緩いので、どうしても処分残土が持ち込まれることになる。これを機会に規制の見直しを検討している」と話していました。
私は、林地開発の規制の強化は必要と考えますが、そもそもの原因は、森林をゴミ処分場として考える思考そのものにあるのではないでしょうか。さらにいうと、便利で快適な都市の暮らしの裏に、自然破壊があることを忘れている人が多いのではないでしょうか。

熱海市でおきた災害は、とても痛ましいものです。ただ、自然の営みとして考えると、森が環境のバランスを回復しようとして起きた、とも言えます。
自然がバランスを自律的に回復しようとする時、災害に帰結することがないような知恵が求められています。

鈴木進/2000年に活動を開始したNPO法人「木の家だいすきの会」代表。木をはじめとする自然素材を活かした家づくりをコーディネートするほか、森林保全や林業に関するセミナーなどを行い、森の大切さを発信し続けている。その人となりはこちらから
http://www.kinoie.org/

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