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京都の大原が素晴らしかった話。(三千院〜宝泉院)

寺院や神社特有の、音と空気がシンと静まり返ったあの空間が好きだ。2月、大阪から東京へ引っ越す直前、あの神聖な空間に行きたくて、1人で京都の大原へ向かった。

大学生の頃は京都の左京区に住んでいたので、当時行こうと思えば40分ほどでいけた距離であったのに何故か行かなかった。
絶対に人の少ない時間帯に行きたかったので、平日の朝から私は大阪から2時間かけて向かった。案外、片道1000円程度で行けてしまうんだな。途中のバスで、昔住んでいた家の周辺を通って懐かしかった。

もともと少なかったバスの乗客は途中で下車していき、終点の大原へ向かう乗客は私1人だけになった。時計はもうすぐ10時になろうとしていた。大原は、たまに車が通るくらいで、人も歩いておらず、本当に静かだった。周囲の山々を見渡しながら、マスクを顎にかけて大原の空気を吸っていた。バス停から三千院に向かうまでの道がとても良かった。途中、茂みやししおどしなんかもあったりして、所要時間の倍の時間をかけて足を進めた。

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三千院についての事前情報は入れておらず、ここに何があるのか知らずに行ったけれど、こんな美しい場所を、昔京都に住んでいながら、全く知らずに過ごしていたのかと思うと勿体無かったなあと思った。境内を歩いては立ち止まり、書院内や庭園をボーッと眺めた。引っ越す前に来れて良かった。

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冬の冷たさが、静けさと澄んだ空気を際立たせていた。真夏に来ていたとしても、ここは一層涼しいんだろうなと思わせる雰囲気があった。

驚いたのは、苔が一面に鬱蒼と生えていたことだ。苔は梅雨の時期のものだと思い込んでいた。こんな真冬に、こんなにも生い茂っている苔を見る事ができるなんて思っていなかったので嬉しかった。私はこの、小さな緑の放射状の植物が可愛らしくて好きだ。溶けかけの雪を被った苔は大変美しかった。

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三千院は思っていたよりも広くて、贅沢な散歩をしているような気分だった。境内のあちらこちらには、にっこりとした可愛らしいお地蔵さんがたたずんでいた。中でも、頭に鳥を乗せていた子はお気に入りだった。

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三千院を出た後、すぐそばにある宝泉院へ向かった。
宝泉院の大きな五葉の松は樹齢700年にもなるそうだ。松の木は何本もの棒で支えられていたけれど、上へ上へと力強く伸びていた。

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宝泉院の庭園は額縁庭園と呼ばれているそうで、柱や鴨居を額縁に見立てているそうだ。“額縁庭園”、面白いネーミングだ。そしてまさにその通りで、松は綺麗に四角い額に収まっていた。「ここから座って撮ると全体が綺麗に撮れますよ」というフォトスポットまで教えていただけたので、そこに座って何回もシャッターを押した。薄暗い院内と外の明るさのコントラストで、一層かっこよく見えた。

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拝観料には、お抹茶と和菓子が付いてきて嬉しかった。小学生の時、お菓子が食べたいからという歪んだ理由で茶道部へ入部した際に教えてもらった作法を頭でなんとなく思い出しながらお抹茶をいただいた。(全く覚えていなかった。)それはともかく畳の上でゆっくりといただきながら松を眺めていた。

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13時頃になり、お昼ご飯を食べに向かった。大原に来たら絶対に行きたかったカフェがあったのだ。KULMさんだった。

実は三千院を出た後、宝泉院へ向かう前、11時半の開店に合わせてお店へ向かったのだが出遅れてしまったようで既に満席だった。人気とは聞いていたものの、さっきまで全然人歩いてへんかったやんか…と驚いた。店員さんが、席が空いたらお電話入れますねと案内してくれた。もともと宝泉院は行く予定だったので、お昼時でしばらく待ちそうだし、その間に拝観しようという感じになった。

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大きな窓からは冬の日光が入ってきてとても気持ちが良かった。ランチプレートという響きは何歳になっても嬉しくなってしまう。京都のおばんざいでもよく見かける小鉢もそうだけれど、お皿に少量のおかずがきちんと整列して何種類も並べられているさまが、宝箱のような、コレクションのような、一つの箱に大事なものをいっぱい詰め込んでいるようで、胃が喜ぶ前に目も喜ぶ。
このランチプレートを食した後にデザートとコーヒーも嗜んでお腹がいっぱいになった。そういえばさっきお茶菓子を食べたところだった。全て美味しかった。

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プリンに見えるけど実はチーズケーキなのでした。

静寂で神聖な場所で心地よく、心を落ち着かせる目的で向かったつもりが、帰り道、大原の魅力に翻弄されてしまった私の心は大興奮してしまっていた。「京都行きたいんだけどおすすめある?」と聞かれたら間違いなく大原と言うだろう。何度も行きたくなる場所だった。今度は夏に行ってみたいな。

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