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ウェブストアスタッフが2月に読んだ本

皆さま、こんにちは。
ウェブストアスタッフのノラです。

早いもので、今日から3月ですね。
私たちの事務所がある東京は、突然暖かくなったかと思えば、また寒さが戻ってきたり、なんだか落ち着かない毎日です。
皆さまの地域はいかがですか。

さて、本日の記事ですが、スタッフのミケとノラが1か月間に読んだ本をご紹介いたします。
こちらの企画、これから毎月更新をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ではでは早速、私ノラの1冊目からまいります!


■ノラ・1冊目

昨年末に発表された各社ミステリーランキングでも紹介されていて、気になっていました。最近話題の華文ミステリーということもあり、ずっと読みたいと思っていたのですが、ようやく手を付けられました。
中国文学はそれほど読んだことがないのですが、生きる苦しさや人間の心の闇など、重いテーマを扱ったものが多い印象でした。でもこの作品は、人間の業が端々に見え隠れしているものの、全体的にはポップな印象になっていて、良い意味で期待を裏切られました。
密室がたくさん登場するのですが、都度解答編が差し挟まれるので、謎解き感覚で読めるのも楽しいです。エンターテインメント要素がふんだんに詰め込まれた、他の海外ミステリーではあまり見ないタイプの作品でした。
探偵役が漫画家というのも新しい!観察力が必要というのは、たしかにどちらの職業にも共通することで、個人的にはとても納得感があります。
この探偵、いろいろと訳アリであることが本文中でも仄めかされています。続編が気になる…
孫沁文さんの作品はほとんど邦訳されていないのですが、他の作品もぜひ読んでみたいです!早川書房さん、どうぞよろしくお願いします!!


●ミケ・1冊目

私は本のジャンルの中で、「SF短篇集」というものがおそらく一番好きである。なぜなら、著者の「奇想」がぎゅっと詰め込まれ、それをテンポよく楽しむことができるからだ。
ずっと気になっていたこちらのタイトル、「信仰」(それから「存在」)がテーマと思われる6つの短篇から成っている。現代のインターネット上のやりとりやオタクたちの様子も描かれた軽めのお話あり、異常論文SFあり、異星人が主人公の王道(?)なSFあり。
「祈り」という行為を行う生物は人間だけである、と言われるように、「信仰」の裏には必ず人間がおり、また信仰と人間・存在についてを切り離すことは出来ない。複雑なテーマであるが、特に表題作「走馬灯のセトリは考えておいて」の読後感はさわやかだ。仮想・現実、神・ヒト、生・死、ない混ぜであいまいなこの世界で、私たちはあるがままに生きてゆく。


■ノラ・2冊目

「シャーロック・ホームズ」と書いてあるものに反応してしまう性分なもので、こちらもついつい手に取ってしまった本です。
まずは表紙のイラストの可愛さ、そして「シャーロック・ホームズがスランプ!?」という意外性、極め付きは「ヴィクトリア朝京都」という舞台設定。気になりすぎて、即購入を決めました。
お馴染みのワトソン博士やハドソン夫人、モリアーティ教授、レストレード警部などの面々は登場するのですが、あの221Bの部屋は寺町通にあるし、鴨川からはビッグ・ベンが見えるし、見覚えのある事件もちょっと結末が違うような…森見ワールド全開で最高な1冊です!
スランプ状態を描くことによって、ワトソンとの友情や他の登場人物との関係性など、生身の人間としてのホームズが見えてきます。原作では描かれていない空白部分が埋まるようで、ファン心理がくすぐられる!
原作ファンの方にもぜひ読んでみてほしいです。


●ミケ・2冊目

こちらは海外作家によるSF短篇集。音楽に造詣の深い著者らしく、作品内には音楽の話題も多くまたその解像度も高い。
勿論SFらしい設定の妙が楽しめるが、世界を描くというより人間を描いているため、解決しない事件や提示されない謎の答えも多い。しかし人間の描き方のフラットさやウェット過ぎないところが大変好みであった。
どのお話もどこか寂しさをずっと感じさせるが、それでも生きる、という光の印象もまた強く感じさせる。
お話としては「彼女の低いハム音」「孤独な船乗りはだれ一人」、そして「イッカク」の中の“クジラを運転して道を走る”という設定がとりわけお気に入り。
まさに表紙のデザインが表すような、明るい靄の中を静かに沈んでゆく中で世界が逆さになっても鳴り続ける音楽のような、そんな一冊である。


ということで、4冊紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
「気になってる本だった」「読んでみたくなった」という方がいらしたら嬉しいです。

この企画をやってみて、他のスタッフが読んでいる本や感想を知ることができたのが、私自身とても面白かったです。来月はどんな本をご紹介できるかな、良い出会いがあるといいな、と今からワクワクしています。

次回もどうぞお楽しみに!