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「皮膚筋炎合併間質性肺炎」闘病記(4. 入院後2ヶ月)

入院からちょうど2ヶ月(発症から3ヶ月程度)が経ち、前回記事のその後の経緯となります。

まず最初に入院以来2ヶ月間病状が悪化することなく、こうやって元気に記事を書けていることについて、主治医先生・看護師さんなど病院の医療関係者や応援してくれている家族・友人達には大変感謝しております。

ざっくり言うと前回記事以降、この1ヶ月間の経緯は「目覚ましく病状が大きく変化しているわけでないが、退院に向け順調に治療が進んでいる」となります。
●肺や皮膚の見た目・体感上の症状は良くも悪くも大きく変わらず
●血液検査上の数値は僅かではあるが良くなっている
●1日あたりステロイド投与量が60mgから50mgまで減り確実に退院に向けた準備が進んでいる

目覚ましい病状の変化も無しになぜ順調なのか?という点が引っ掛かるかもしれません。その辺も含めて、以下詳しく書きます。

(注:本投稿はあくまで素人として治療経緯の概要を共有することが目的につき、医療関係者から見ると正確でない記述があることご了承ください)

■病気についてのおさらい

私の病気については、別途以下のまとめ記事を書いております。闘病記のみだとそもそも病気の全体像がわかり辛いこともあり、必要に応じご参照下さい。

■病状の経緯

前回記事の「そもそも何を目指して治療しているのか?」という項で治療の目標について書きました。それに当てはめながら、この1ヶ月の経緯を説明します。

1.  定量的目標
血液検査項目「フェリチン」が正常数値15-303程度まで下がること

下がっています。フェリチンとは大まかに言えば「免疫システムが自分の臓器や皮膚を攻撃し炎症を生じさせている度合い」を意味しますが、入院1ヶ月時点で1133だったのが現時点で689。徐々に数値の下がり方が緩やかにはなっているのですが、正常数値に近付いています。この点には私も安心しています。
注:フェリチンについては私の病気(無筋性症の皮膚筋炎)・状況に基づき主治医がガイド等に基づき注視している項目です。注視すべき検査項目は患者病状や医師判断により異なるため、上記目標(フェリチン値の低下を目安に治療すること)全ての患者に当てはまるとは限らないことにご注意下さい。

フェリチン数値の推移グラフ

2. 定性的目標
2-1.  CTの肺の画像から肺炎の影が消えること

→一方でこちらは前回から殆ど進展がありません。未だCT画像上は肺炎の影は残っており、前回画像とほぼ変わりません。但し、現時点の体感としてよほど激しい運動をしない限り呼吸のし辛さや息苦しさを感じることもなく、また間質性肺炎の程度を表すKL-6という数値も元々高くないことから(500前後で維持)、主治医先生とも会話し、この目標については現時点ではそこまで重要視していないのが実情です。もちろん急激な悪化リスクについては慎重にモニタリングしています。

2-2. 皮膚筋炎の症状が消えること

→こちらも前回から殆ど進展がありません。手指の赤い腫れが残って痛みやしびれを感じます(前回画像とほぼ変わらず)。ペットボトルの栓を開けたり、箸で魚を切り分ける時などに痛みを感じてやり辛い、という些細な支障があります。ただ、肺炎と同じく生活上の支障が大きくないことを踏まえ、悪化していないかについては日々注視するものの、大きな改善については現時点では重要視しないことになっています。

上のように書くと、結局「フェリチンの数値が下がる」ことだけを目標にしている? 肺炎や皮膚筋炎の症状はそのままで良い?というツッコミが入りそうです。実は概ねその通りなのですが、誤解無きように、改めて治療の目標を整理します。

■(改めて)何を目指して治療しているのか?

改めて整理すると、現時点での治療の目標は以下の通りです。

[短中期(1〜3ヶ月) ]
肺炎の急性憎悪など症状悪化を確実に抑えながら、ステロイド投与の減量を退院可能なレベルまで進めること
 目安:プレドニン(ステロイド)の内服量30〜40mg / 1日まで減量

[長期]
症状悪化、更に薬による免疫力低下に伴う感染症リスクを確実に抑えながら、ステロイド投与の減量を進め、最終的に症状が消えること

目標を短中期と長期に分けてみました。前回記事では「何はともかく症状を消すことが目標」というように読めたと思いますし、実際私もそんな認識を持っていました。但しその後の経緯や主治医先生との会話を通じ、目標の捉え方が変わってきたのが実情です。

私の場合、当初より肺・皮膚の炎症自体はそこまで重症でなく、より重症の患者さんのように「酸素吸入が必要」、「筋肉が動かず高い所にある物を取るのにヘルパーさんが必要」など、生活を送る上での大きな支障はありませんでした。そのため、もともと軽度だった病状が完全に消える(寛解)という「大きな回復」は現時点で優先度は高くないのです。

但し、病気の性質上、急激に肺炎が悪化する(急性憎悪)リスクありというのが最大の問題です。そのため、急性憎悪リスクを確実に抑えることが最優先事項となります。その一方、炎症を抑えるために投与しているステロイドは非常に副作用が多く、また服用が長期に及ぶほどに人体への悪影響も大きくなることから、使用を最小限・短期に留める必要があります。

但しステロイドを急激に減らすことは、炎症の急性憎悪やその他副作用などリスクが大変高いのです。そのため「症状が悪化しないことを慎重に確認しながら、時間をかけて徐々に減量」という方法が必要になります。私の場合は10月後半の治療開始からおよそ40日くらい60mg /1日の投与が続いていたのですが、12月頭に主治医先生の判断により「2週間で5mgずつ減量」というフェーズが始まりました。その後幸いにも症状悪化しておらず予定通り減量が進んでおり、現時点では50mg /1日となっています。

そういう訳で、まとめると「病状が悪化しないことに細心の注意を払い、フェリチンの数値を参考にしつつ、問題が無いと判断したら予定通りのペースでステロイドを減量」というのが現在の治療方針になります。

■治療を通じた自分の心境の変化

上記のような病状、治療経緯を踏まえ、自分の心境というか病気への心構えが変わってきたと思います。

10月後半に病名が特定され、ステロイド治療が始まった時点では、ずっと悩まされていた原因不明の高熱が消え、治療方針も明確になったことで一気に気持ちが楽になり、正直あとは治療さえすれば病気が治るのでただそれを待つだけ、という気持ちでした。症状が軽く、下手に普通に動けたり考えたりできたのも大きかったと思います。そんな状況もあり、治療のために最低限のことをやりさえすれば、この入院生活で生まれた膨大な空き時間をどう活用するか?今後の仕事やプライベートなど人生を充実させるために活用しよう、というように割とお気楽に考えていたのが実情でした(関係者の方すみません)。

しかしその後、前述の通りそう簡単に症状が消えてくれない自分の状況を目の当たりにし、またSNSやブログで同じ病気の患者さんの生活を拝見(※)しているうちに、自分の心境も変わってきました。この病気は、入院で治療して回復して退院したらハイ終わり、ではなく、退院後、いやむしろ退院後の日常生活において長く注意しながら付き合わないといけない難病なんだ、という気持ちへの変化です。

まだ入院治療中ということもあり、退院後の具体的な生活上の注意事項(感染症対策、食事、日光など)については今回は書きません。ただ最近は、入院中の時間の使い方として、それらの情報収集をしながら、退院後に難病と付き合いながらいかに生活を送るか?を考えることにシフトしつつあります。それがこの1ヶ月での心境変化というか、「これから難病と長期間付き合くんだ」という心構えを持つようになった、ということでしょうか。

※余談
Twitterで同じ病名の患者さんとDMで会話させて頂く中で、退院後20年(!)でようやくステロイドがゼロまで減ったという方がいらっしゃいました。もちろんその方とは同じ病名でも病状や程度は異なりますが、それだけ長く付き合わないといけないかもしれない病気なのだと痛感させられた次第でありました。

■参考(各種データ)

入院から2ヶ月(発症から3ヶ月近く)経過した本日12/19時点での各種データを参考までに記載します。

身長: 165 cm
体重: 55.9 kg (発症前から7kg減)

<バイタル>
体温: 36.8℃ ←治療開始直後後から安定し36℃台を維持
血中酸素飽和度:96% ←当初町病院で測った時から安定し95%以上を維持
血圧: 107 - 64  ←もともと低血圧で、このレベルかより低めかを維持

<血液検査結果 気にしている項目のみ>  12/16時点
白血球数:4700 ←正常値範囲内
肝機能系 ←正常値範囲内。薬の副作用で以前高値だったのが低下
  AST(GOT):13
  ALT(GPT):14
フェリチン:689
KL-6:524

<服薬>
プレドニン(ステロイド):50mg / 日 
プログラフ(免疫抑制剤):6mg / 日
ミヤBM(整腸剤):2錠×3食
バクタ(抗菌薬):1錠 / 日
タケプロン(胃酸分泌抑える):1錠 / 日
ルネスタ(睡眠剤):2錠 / 日 ←ステロイドの副作用で不眠になるため

<身体で気になる症状>
・指先の赤い腫れ。若干痛くて痺れ、ペットボトルの栓を開けたり、箸で魚を切り分ける時などに痛みを感じてやり辛いなど(皮膚筋炎の症状)
・手の震え。キーボードタイプや手書きの時、また物を片手で持った際に手が自然に震えることがある(ステロイドの副作用)
・不眠。夜寝付きづらく、寝てもすぐに目が覚める(ステロイドの副作用)
・脱毛(ステロイド、エンドキサンパルスの副作用)


以上、入院後2ヶ月の治療経緯や生活はこんなところですかね。拙い文章ですがここまで読んでくださりありがとうございました。次は3ヶ月目頃を目安に状況報告予定です。

少しでも興味を持っている方、同じ悩みを持っている方に記事を届けたいためため、Twitterなどで共有いただけると大変嬉しいです。