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「救急医、新型コロナウイルスに感染しました」

TONOZUKAです。


救急医、新型コロナウイルスに感染しました

以下引用

コロナ禍が始まって以来、大学病院で診療に関わり、自院でも診療を行い、入院管理を行い、院内のクラスター感染も経験してきました。ここまで何とか感染せずにやってきましたが、ついに僕が感染してしまいました。多くの仲間が感染を免れながら診療に携わっている状況で、大変悔しいです。3回目のワクチンは、先月接種していました。手指衛生が不足していたのか、マスクの隙間から入り込まれたのか、結膜から入り込まれたのか……。近隣小中学校なども学級閉鎖だらけで、本当にどこにでもウイルスがいる状況なのだと思います。
発端は今月の初め、当院職員に感染者が出たことでした。当該職員が自覚したのは咽頭痛と倦怠感程度でしたが、昨今流行しているオミクロンに関しては全くの無症状の人も割といるので、閾値を下げて検査したところ陽性でした。「誰が悪いわけではない。仕方ない、患者さんに広げるわけにはいかないから早々に帰宅して保健所の指示に従ってください」と伝えて帰しました。そしてその夜、自分も咽頭痛を自覚しました。暖房による乾燥かなと思う程度の極軽微な症状です。筋肉痛もなければ咳も出ない。そのまま寝ると、翌朝その咽頭痛が少し強くなっていたので、朝一で抗原検査したところ、陽性となりました。スタッフに向けた「誰が悪いわけではない。仕方ない、患者さんに広げるわけにはいかないから早々に帰宅して保健所の指示に従ってください」という言葉を、自分には素直に向けられなかったことを覚えています。こんなにあっけなくもらってしまうのかと、しばらく全身から力が抜けました。

自分がかかって痛感したメンタルフォローの必要性

 すでに僕の感染をご存じの方々もいらっしゃるかもしれませんが、体は元気です。ご心配おかけしました。ただ、精神的にはかなりキます。予約の検査や、外来の対応ができなくなってしまうことがただただ申し訳ないのです。「謝るようなことではない」という声も多くいただきましたが、気持ちの落とし所がありません。多くの医療従事者が感染したり濃厚接触者となったりする中、メンタルフォローが重要であると痛感しました。

 こんな状況でも岡山県では連日1000人以上の患者さんが発生し、徐々に酸素の必要な方、集中治療の必要な方も増えてきています。ピーク時に戦線離脱してしまったこと、悔やんでしまいます。ただ悔やんでいても仕方ないので、できることはやろうと思います。自分が感染したらどうしようか、看護師が何人感染したら病床制限するか、給食部は何人感染まで耐えられるか、保育所の職員が欠けたらどの程度影響が出るか──など事前にシミュレーションしていたので、予定通りに動きます。この辺は院内クラスターの経験から腹がすわりました。

 自分が濃厚接触者となれば、毎日の抗原定量やPCR検査をして働くというのが院内では厳しいので、濃厚接触者になっても感染者になっても業務停止は覚悟していました。ただ、もしかしてコロナ病床では勤務できるのではないかと淡い期待を抱いていました。陽性者が陽性者と接触しても誰も困らないはず。そこで保健所に電話で相談してみたところ、半笑いで「やめてください」と言われてしまいました。というわけでこの原稿を書いている時点で自宅生活5日目です。患者さんや周囲のスタッフ、家族に感染させた様子はなく、それだけは良かったなと思っています(無症状なだけなのかもしれませんが)。

 病院としては、他のスタッフがとにかく頑張ってくれて、近隣医療機関からも「当直に行きましょうか?」とお声かけいただくなど、周囲の方々の力で診療は継続できております。幸い、電子カルテ化した時に、院外からリモートでカルテにアクセスできるようにしていました。タブレット端末を利用し、院内の状況に目を通しながら、承認業務を中心に日々過ごしています。そもそもマンパワーが少ない環境で院長不在となった時、どのように業務を継続するのか。改めて考えさせられます。




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