全て、貴方のせいです。 第7話
概要
筆者が髑髏教について情報提供を呼びかけたところ、読者から浅草の都市伝説について教えられた。それはどうやら、異世界への行き方らしい。
浅草8丁目
昼から夜になる中途半端な時間。境界が曖昧な時。邪悪なものが顔を出し、災禍に巻き込まれる。そんな言い伝えが昔からある。そういう時間の事を、古くから『逢魔が時』といった。
その時刻はまれに、現実が不具合を起こす事がある。
他にも、境界が曖昧になると言われているのが、十字路と丁字路だ。
『辻には魔が棲む』と昔から言われている。
道路が交差する場所は、現実と異界も交差する。邪悪なものが入ってくるかもしれないと恐れおののき、道祖神や石敢當を置き、魔除けをした。
また、交差点の変わった使い方として、辻占いがある。
夕暮れの辻で、占いたい内容を心に唱えるなどして、通行人の声を聞く。
例えば、「好きな子に告白するべきですか?」と訊く。すると、偶然にも街ゆく人の会話の中に「しよう」という言葉が入っていたなら、それを神託であると解釈するもの。
これはまだ良いが、逆の行いは決してやらないこと。
夕方、人気の無い辻で話しかけられても、返事をしてはならない。そういう言い伝えがある。
自分以外誰もいない辻を歩いている時、女性の声で「お友達になりませんか?」と話しかけられる事がある。
「え?」とでも返事をしてしまうと、神聖と汚穢の境界線を跨ぐ事になり、周囲で蠢く忌々しい力によって、常夜の異世界へと飛ばされてしまう。
そこは深更の浅草に見えるが、現世ではなく幽世。この世ならざるもの達が蔓延る世界。そんな所へ連れて行かれるというのが、辻にまつわる浅草の都市伝説だ。
辿り着く地は十字路。妖怪や鬼が集う奇怪な街で、百鬼夜行に遭う。わいわいと騒ぐ化け物の最後尾。餓者髑髏がこちらを見ており、話しかけてくる。
「お前は選ばれてここに来た」
見上げるほど大きな骸骨。髑髏の隣に案内標識が見える。そこには、こう書かれているらしい。
『浅草8丁目』
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