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『三体II 黒暗森林』王道のSFは、圧倒的な引用を省みる間もなく跳躍しつづける

こんにちは、キネヲです。
映画レビューのつもりが、早速、今回は小説について語りたいと思います。

今回の題材は、話題のSF小説の続編『三体Ⅱ 黒暗森林』。一作目が衝撃的だったので、二作目を読んでの感想です!
一応、ネタバレは無い気で記述してるつもりですが、気になる方は、読後にこちらのページをご参照下さい。

一作目は、文化大革命の時代から始まったこの物語でした。

二作目は現代っぽい時代設定で、蟻が、前作の登場人物の墓石を歩く描写から始まります。

この描写の、何が意味あるのだろうか?
ん?なんぞ?と思いながら読み進めていくと、急に個人的な恋愛話が始まる。

なんだかなあ、と眺めながら上巻の中盤にたどり着くと、その、メタファーの意味に気づき始めるので、どうか、序盤で折れてしまわずに、そのあたりまで読み進めることをお勧めします!!

その後が凄いのです。。。

すぐに、一作目を凌駕するとてつもないスケールの物語が展開されて行きます。

前半は『面壁者』と呼ばれる選ばれた4人の人物の、三体人との心理戦の戦略を読者が追う展開となります。

さながら推理小説のように、のめり込みます。
人類の命運を託された賭けの結末やいかに!

途中、面壁者の一人が、鹿児島の知覧特攻記念館に訪れるシーンがあります。
(僕はたまたま、去年、そこを旅行で訪れてたので吃驚しました。何故その場所が描写されるのかは、読んでのお愉しみ。)
そしてその後、中東のとある人にも会いに行ったようでしたが、それも衝撃。。

さらに、その1ページ後に、まさかの『銀河英雄伝説』の、ヤン・ウェンリーのセリフが歴史上の人物の言葉のように引用されます。

かかっているのはたかが国家の存亡だ。個人の自由と権利に比べればたいしたことじゃない

この小説は、数々の引用から分かるように、テクニカルで詳細を競うSFというより、アシモフや小松左京のような、王道のSFを、一般人の想像を超えたスケールで更新しようとしています。

技巧ではなく、あらゆる人類の知識と教養を総動員しつつ、ポピュラーな作品としてまとめる。
なおかつ、我々今を生きる人々に、何か希望になる事柄を伝えられないか、、。

ま、そんなことできるか〜〜〜い、という事をしているから、SFファン以外にも響く、圧倒的に凄い作品なのでしょう。

次作の翻訳が待たれますが、また、違った時空間で新しい主人公が苦難を乗り越える活劇である事を期待して、夜も眠れません!!
助けて!!

再見!!

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