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字数制限を言い訳にしない

みなさん、こんにちは!今回「字数制限を言い訳にしない」という動画のタイトルを見て、ドキっとしました。字幕翻訳をしていると、この「字数制限」というものに苦しむことが多々あります。すでにご存じの方も多いかと思いますが、字幕には1秒4文字ルールというものが存在します。この1秒4文字は何かというと、人が1秒間に読み取れる字数なんだそうです。字数は、字幕が表示される秒数で決まってくるわけなのですが、一度に表示できる字数というのが決まっている(大抵、横字幕で1行14文字、2行までOKなので最大で28文字まで)ので、ずーっとセリフをしゃべり続けているシーンであっても、一度に表示できるハコの長さは7秒まで、ということになります(1秒4文字⇒7秒×4文字=28文字)。
少し話が逸れましたが、この字数制限というのが時として翻訳者泣かせで、制限があるが故に情報の取捨選択をしなければならない時がよくあります。本当は全部の情報を入れたいところですが、それでは字数オーバーでとても読み切れる文字量ではなくなってしまいますので、必要な情報を選び、省くものは省く、そして言葉の言い換えもしなければなりません。全体の意味に重点をおいて訳すことを「意訳する」と言いますが、この意訳には注意が必要です。私も気を付かないうちにやってしまってることがあります。
字数を意識するあまり、意訳がどんどんズレていって、本来言っていることとはだいぶかけ離れてしまったり、または脚色しすぎて意味が違っちゃったり、なんていうこともあります。新人の頃、よくこの意訳ミスをしてしまってました💦
字数制限があるとはいえ、それを言い訳に意訳して本来の意味からかけ離れていってしまうようなことは避けたいものです。一番心掛けなくてはいけないことは、分かりやすく読みやすい字幕であることは当然そうなのですが、原文のセリフを意味から離れずに日本語に訳して伝えることです。
新人の頃、よくディレクターに注意されました。「これは意訳になっていません。」「字数がオーバーしすぎです。もう少し工夫して日本語の表現を考えてください」etc…。そしていまだにあることですが、「喉元まで出てきているのになかなかいい言葉が思い出せない」「なかなかいい表現が見つからない、あ~~もどかしいっ!!」という気持ちのループによく陥ります。最近でこそ頻度は減りましたが、新人の頃はしょっちゅう頭の中であーでもない、こーでもないと考えていました。ひどい時は夢にまで出てきたことも(笑)でも、大好きな海外ドラマ作品に関われているので、苦ではなかったです。むしろ、夢に出てきたときなんかは笑ってしまいました(^^;)

私が字幕翻訳家としてデビューしたのはもう10年ぐらい前のことなのですが、その間、ブランクもあったりしたので仕事を再開したときは、海外ドラマを見て、いいと思った字幕をひたすらメモっていたものです。今でも時間があるときにはやっています。自分には、こうやってメモること自体がいいみたいです。というのも、メモった内容はいちいち全部覚えていませんが、「メモった」ということは覚えているので、なんとなくうっすらと「あ~あのときメモしたな。あのときメモした言葉がここで使えそう」とか、ぼんやり思い出します。それでメモをさかのぼり、「あ、これだこれだ!」と思い出すわけです。やっぱり、字数制限を理由に、原文とかけ離れた訳をしてしまうのも嫌ですし、とことん原文に忠実に、セリフの意図を汲み取った訳をしたいですから、日々の小さな努力が大切なのかな、と思います。

もし私が見た動画にご興味のある方がいらしたら、ぜひこちらもチェックしてみてください♪
https://www.youtube.com/watch?v=fVPoFemWynA

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