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祈りの夜

眠れない。ただ眠れないのなら不眠症の私には良くあることだ。でも、今日の眠れなさは不安と寂しさを纏った、一層私を夜の暗がりへ足首を掴んで引き込むような眠れなさだ。


彼女さんとは毎日夜に通話をしているのですが、今日は今に至るまで連絡がなく、おそらく眠ってしまったのだと思っています。なので一人残された眠れない私は、今こうして暗い部屋でブログを更新しているのです。

私は過去の経験から人間不信を拗らせていて、人に心を開くまでとても長い何月を要します。今の彼女さんに出会ったのは去年の冬で、12月に付き合い始めてから色々な思い出を重ねて、5ヶ月経った今頃になってようやく心を開くことが出来たように思えます。なので、私は彼女さんを信じています。他の誰よりも信じているのです。でも、今でも、心のどこかに「この人もどうせいつかいなくなるよ」と耳元で囁く自分がいることは否定できません。
その悪魔が、今まさに、彼女さんに嫌われたかもしれない、何かしてしまったかもしれない、という不安を掻き立てているのです。LINEの返信がないだけでこんなことを言い出す自分は本当に面倒なやつだなあ、と思います。が、過去の大切な人たちに見捨てられた経験が、私を不安にさせるのです。


一人ぼっちの夜は久々なので、ああ、こんなに寂しくて苦しいものなんだなあ、と改めて体感しています。大切な人が離れていったばかりのあの頃は、毎晩がこうでした。布団に潜って、なんの助けにもならない睡眠導入動画を流しながら目を瞑り、眠れるのを待つ。でも、眠ろうとすればするほど、過去の大切だった人たちがフラッシュバックする。同じ高校の〇〇ちゃん。Twitterの相互さんで毎日通話してた△△さん。私を振った元恋人たち。その人たちが寄ってたかって私を囲み、お前はずっと一人なんだ、お前なんかが大切な人をもつだなんて文不相応な烏滸がましいことだ、って詰め寄って来る。私はただ彼らの声に耐えながら、眠りに落ちるのをただ祈ることしかできないのでした。

幾度も繰り返される眠れない夜たち。不安と寂しさと希死念慮に塗れた、部屋の隅に陣取るどす黒い夜の魔物に対抗する術は、ただ、祈ることだ。私は大丈夫だ、あの人は、あの人なら、きっと、私を見捨てないでいてくれる。だから、早く夜明けが来ますように。私のどす黒い心も明け方の空のように白みますように。


貴方がそばにいない夜の底で、嫌ってほど自分の小ささを見た(米津玄師 「メランコリーキッチン」より)

考えると、こんなに恐ろしい一人ぼっちの夜から私を救ってくれた彼女さんの存在は大きいな、と思います。ああ、彼女さんと話したいなあ、彼女さんさえいてくれれば私は大丈夫なんだな、とも思います。でも、これを打つ今も連絡はないので、今日はメランコリーキッチンを聞きながら一人で寝ようと思います。夜明けまでに寝られるかな…。

追伸:これを公開してすぐに彼女さんから連絡が来てお話しできたので眠れそうです、ごめんよ彼女さん…

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眠れない夜に

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