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地上の水底

雨が降る前の、土と葉っぱと川が混ざったような、しっとりとした匂いが好きだ。いわゆるペトリコールというやつだ。昔から、雨が降っているときはベランダに出てその匂いを嗅いでいた。それに、雨の、しとしととした、時に激しく地面を打つ、雨音も好きだ。つまり私は雨が好きなのである。

こんばんは。みなさまいかがお過ごしでしょうか。私は相変わらず調子が悪く、何も出来ない日をまた一日過ごしました。昼寝すると夜に響くので、なんとか起きて午後を費やしてコレクション整理を150個分ほど進めていました。コレクション整理という名の撮影とデータの記入という単純作業をしていると、余計なことを考えないで済むのでとても良いです。


そろそろ関東も梅雨入りしますね。私は梅雨生まれだからか、雨が好きなので梅雨は実は結構好きだったりします。びしょ濡れになる感覚とぼろぼろになる体調を除けば。

冒頭にも書いた通り、私は雨の香り、ペトリコールが大好きです。ペトリコールの香水なんてものがあればぜひ欲しいくらい、あの青臭い、でもどこか懐かしい匂いが好きで、雨が降るといつもベランダに出てしまいます。雨の香りを嗅ぐと、幼稚園の頃、夕飯を外で済ませて帰って来たら大雨が降り始めて、慌てて走って祖父母の家まで走った記憶を思い出します。ゲリラ豪雨なんて言葉が流行る前の夕立は、適度な短さと激しさを兼ね備えていて、今より夕立らしかった気がするのは私だけでしょうか。

しとしとと降る雨もいいけれど、私は土砂降りの雨の方が好きだったりします。もちろん自分が外に出る日に降られるとちょっと困りますが。
土砂降りの雨の、いらないもの全てを豪快に洗い流してくれる感じが好きです。土砂降りの中を10分も歩けば、肉体的にも精神的にもまるで洗濯機で洗われたような感覚に陥ります。それがまるで心の洗濯のようで好きなのです。きっと洗濯機で洗われるティディベアはこんな気持ちなんだろう。

今日のようにあまりに酷い雨だと、洗濯機を通り越して川や海の水底にいる感覚を覚えます。息苦しくて、傘を差してもびしょ濡れになり、あたり一面水で溢れている。きっと水底はもっと静かなんだろうけど、地上は騒がしいから、地上の水底もうるさいんだ。私は地上の水底を深海魚の如く這いずり回って、なんとか棲み家に帰るのです。


これを読むあなたがこの雨で帰宅難民になっていないことを祈ります。それではまた明日。

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