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夏祭りに行く? 行かない?

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

「もちろん行くだろ? だって夏は年に1回しかないだろ? だから行くだろ?なっ? 行くだろ? 行くと言ってくれ………」

そんな文面のメールが僕のもとに3件も届いている。送り主たちは友人、知人たち。是非とも夏祭りに参加してくれということなのである。夏は年に1回しかないって言われてもサ、残された秋、冬、春だって1回しかないわけで、行くと言ってくれ………って言われても、愛していると言ってくれ………みたいに聞こえて、ちょっとげんなりしてしまいました。

勿論、夏祭りは大好きです。子供の頃はワクワクドキドキが止まらず、隣町の夏祭りまで参加していました。商店街の道路には的屋が軒を連ね、綿あめやかき氷、さらにはりんご飴を食べながら商店街を練り歩いていました。それもまだ夕方の時刻で、大汗をかいていたのを覚えています。

何度も母親に交渉してなんとか1000円をゲットし、お小遣いとあわせて2000円を財布に入れて落とさないよう、ポケットの奥まで押し込んで、定期的に財布を触っていた記憶も残っています。

学校の友達に会えばさらにテンションが上がり、好きな子が浴衣姿で歩いているのを発見すれば、もう僕のテンションはMaxとなり、その場でガッツポーズを連発し、その勢いのままダッシュをしていました。

「おーい。どこに行くんだアイツは? トイレか?」

なんて心配される始末でした。まさに阿保。阿保の青春です。

さらに夜になればこれまた商店街の雰囲気がガラリと変わり、普段なら家に帰らなくてはならない時間帯に、的屋のライトに導かれながら、お好み焼きやたこ焼きを食べながら、ブルーハワイを飲みながら、これまた商店街を練り歩くのです。

最後は花火を見てフィニッシュ。21時にはちゃんと帰宅していたのを覚えています。

それからおよそ30年が経過した僕は、この夏祭りに行こうか迷っているのであります。

うーん。

僕は部屋で一人、右に歩いたり左に歩いたりしています。

情けない。ではなぜ迷うのか、それは以下の2点につきます。

1.家から歩いて行けない。
2.百歩譲って車で行ったとしても、大好きなルービーが飲めない。

あの夏祭りの雰囲気のなかでルービーが飲めないなんて、まさに中年男性からしたら、ルービーファンからしたら、生き地獄なのであります。マジであり得ない、ガチであり得ないことなのであります。ルービーファンのみなさん、僕ちゃんの気持ち、分かって頂けますよネ?

「ぢゃあ、誰かに送ってもらえばいいじゃん。帰りだって迎えに来てもらえばいいじゃん」

そんな声が僕の耳に届きました。

うーん。

確かにそれも一計。だけどネ、どの家庭だってお子さんが優先な訳ですョ。そこをサ、大の大人が「あのさあ~僕も夏祭りに参加したいから、ちょっと迎えに来てもらってもいいかな? いいともー!」って、ならないでしょ。逆に迷惑をかけてしまうこと必至なわけですョ。

うーん。

でも確かにあの夏祭りの雰囲気は味わいたいです。麦わら帽子に作務衣とビーサン姿で参加し、紙コップに注がれたルービーを飲みながら、今なら串焼きを食べながら商店街を闊歩したいです。また、じゃんけんをして勝てば2本ゲットできるバナナチョコの的屋を探したり、射的をしてバンバン商品を倒して、子供たちのヒーローを目指してもいいかも知れない。

そう考えると、ぜひ夏祭りに参加すべきなのです。

うーん。

だけどサ、ただいま時刻は16時。今からシャワーを浴びて愛車に乗って移動して17時30分着。花火開始が20時15分。ってことは花火開始までおよそ3時間弱の時間を過ごさなくてはならないのです。

いくら友人、知人が待っているとは言え、ちょっと長くない? 以前から書かせて頂いておりますが、僕は生粋の江戸っ子気質。待つことがとても苦手なのであります。だからササッと飲んでササッと食べてササッと見て帰るのが性に合っているのであります。よって、商店街を闊歩してもせいぜい20分。それも片道で十分なのであります。

うーん。

時間的にこれ以上、友人、知人たちを待たせるわけにはいかない。

僕はスマートフォンを手に取ると、友人、知人に以下のメールを送った。

『同士諸君、今年も夏祭りの季節がやってきた。あの頃の想い出をさらに色濃くする為に、是非とも夏祭りに参加したいところだが、残念無念、僕はいま【虫歯】によって飲み食いが出来ないのだ。大変申し訳ない。社会人として、1人前の大人として失格の烙印を押されても仕方があるまい。激痛に襲われながら、部屋の中でゴロゴロのたうち回っている僕を大いに嘲笑い、今宵のアテにして頂ければと思う。次回は必ず馳せ参じる事を誓う。アーメン!』

これでスッキリとした僕はシャワーを浴びると、冷凍庫からルービーを、冷蔵庫からグラスを取り出し、さらに5種のお刺身盛り合わせを取り出しました。

「虫歯というのは嘘。みんな噓をついてごめんなさい。だけどネ、せめて昨日言って欲しかった。さすれば5種のお刺身盛り合わせを買わずに済んだのだョ。でもまあ………家で飲むルービーが一番だネ」

なんて言い訳して飲んでいると、友人、知人たちから写真と動画がバンバン送られてきた。

それをアテにルービーを飲みながら、僕も夏祭りに参加することができましたとサ。

同士諸君、誠にありがとう☆彡




【了】




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