頼まれた仕事への取組み方が分岐点 相手の予想以上の仕事ぶりだから信頼され、次の仕事がやってくる
「働く」「仕事」「ビジネス」など、仕事に関連していろいろな言い方がります。
生きるために、お金、報酬を得ることがクローズアップされますが、実際のところ、働くことの本質とは違う気がします。
「働く」は「はた・らく」。
「はた」とは、自分の周辺、そこにいる人をさします。なので、「はたらく」とは、周りの人を楽にするという意味につながります。
逆は「はた迷惑」。周りの人、近所に迷惑な状態を指します。
「仕事」は「事に仕える」。特に目上の人へですが、ある人、ある事柄に奉仕するという意味合いがあります。
「喜ばれる存在になることにお仕えする」ということへ置き換えられる言葉です。
「ビジネス」は、「ビジー(手がふさがっていて、忙しい)」を名詞化した言葉です。
共通するのは、いかに儲けるかではなく、「周りの人を楽にするために、いかに喜ばれる存在になるか。そして頼まれごとをこなしていくか」ではないかと思われます。
他に「キャリアパス」と言う言葉があります。
目指す役職・地位・役割を見定めた時に、たどるべきポイントやクリアするべき基準、身に付けるべきスキルや経験などをまとめて指した言葉です。
私自身は、この言葉がなんとなく、仕事、働く上でしっくりこない感じがしていました。
それはなぜか?
「自分のスキルを伸ばして、経歴を増やしていく、そして、周りに認められて、出世していく」というような、何となく「エゴイスティック」な感じがしていたからです。
自分の能力、スキルを使って、サービスを提供して、お客さんを始め、周りの人に喜んでもらう、あるいは世の中によいことを積み上げていくことが本来なのに、逆に、
自分が「上がっていく」ための「道具」にしているようなイメージがしました。
また「自分に合う・合わない」で仕事を選んでいくと、行き詰っていきます。
それは、周りの人たち、世の中のための「仕事」なのに、「自分の好き嫌い」「認められたい」という内向きな気持ちが大きくなっているからです。
逆の視点で考えると、違った世界が見えます。
例えば、自分が上司だとしたら・・・。
「~さんなら、これができる」と見込んで、仕事を頼むと思います。
その時、仕事が気に入るかどうかなどの感想を聞くことはないでしょうし、何かを頼んだ時に「はい」と気持ちよく引き受けてくれる人の方が頼みやすく、また、「次の仕事」をお願いしたくなると思います。
そして、そつなく、あるいは、こちらの予想以上の仕事ぶりだったら、別の機会に、さらに、「大きな」仕事を頼むと思います。それは、信頼できるからです。
このように、
基本的に仕事は、「これをやってくれないかな」と、「あちらから」来るものではないかと思います。
自分の「キャリア」うんぬんで、
「自分に合う合わない」
「自分はこれがしたいから、やらせてくれ」
などと自分から言うものではない気がします。
別の言い方をすると、
「成功の梯子」は自分がかけるのではなく、「上からしか下りてこない」。
そして、「キャリアを積もう」とか「ステップっプをはかろう」ではなく、周りの人は、自分に何を求めているのか、自分はこの社会(職場)でどんな仕事ができるのかと言うことを考えている人に梯子が降りてきます。
自分に仕事を合わせるのではなく、仕事に自分を合わせていくと、可能性が広がっていきます。
初めは大変かもしれませんが、「やる羽目になったことに対して、文句も言わずに取り組む」と人生が開けてきます。
実際、こんな話を聞いたことがあります。
帝国ホテルの元総料理長・村上信夫さんの話です。
村上さんは、料理長を26年間勤めました。
18歳で帝国ホテルへ入社し、はじめは、「洗い場」に配置されました。
そこで「3年間は鍋磨きだけだ」と宣告されましたが、腐らず「ようし、世界一の鍋磨きになろう」と決心して、続けたそうです。ほとんどの同僚が辞めていくにもかかわらず・・・。
その当時の鍋は銅製だったので、磨けば磨くほどピカピカになり、鏡のように顔が映るまでになったそうです。それは、毎日、休憩時間を使って徹底的に磨き上げたからです。
昔の事だからでしょうが、当時の先輩たちは、立場を脅かす後輩に、料理の味付けや隠し味さえ教えなかったそうです。そして、味付けなどを盗まれないように、鍋に洗剤を入れて戻す人がほとんどでした。
それでも、鍋の輝きの変化に気が付くようになった先輩から「今日の鍋磨きは誰だ」と聞かれるようになり、村上さんの時だけ、鍋に洗剤が入らずに戻ってくるようになりました。おかげで、村上さんは指で舐めて味付けの勉強ができました。
それからしばらくして、調理場から声がかかり、調理人としての人生がスタートしていきました。そして、料理長を26年務めるまでになりました。
また、小林一三さん(実業家、政治家 宝塚歌劇団の創始者)がこんなことを言っています。
下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にはしておかぬ。
自分が「何をやりたいか」にこだわらず、「やる羽目になり、与えられたことを、ただひたすらに、淡々とこなしていく、やり続けていく」。
すると、それを見ている人はいて、応援してくれるようになります。別の「ご縁」が舞い込んできます。
仕事に行き詰ってしまったら、
「キャリアを伸ばしたい」から「周りに求められていることは何か」「できることは何か」と視点を変えて、頼まれたことを相手の予想以上に仕上げてしまう気持ちにかえていくと、視界が開けてくるかもしれません。道がつながっていくのかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
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