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読書紹介⑰「Xの悲劇」

あらすじ

鋭敏な頭脳を持つ引退した名優ドルリー・レーンは、ブルーノ地方検事とサム警視からニューヨークの路面電車で起きた殺人事件への捜査協力を依頼される。毒針を植え付けたコルク球という前代未聞の凶器を用いた大胆な犯行、容疑者は多数。名探偵レーンは犯人Xを特定できるのか?巨匠クイーンがロス名義で発表した、不滅の本格ミステリたるレーン4部作、その開幕を飾る大傑作!

感想

本格推理と言うか、ちゃんと理にかなったトリック、解決編で読後になるほど!という「あは体験」がありました。
犯人にたどり着くヒントはたくさん書かれていました。
後から冷静に読み返すと目にしてはいたのに、なぜ、そこに気づかなかったのか!と悔しくなります。でも、それが楽しかったりします。
作者のミスリードに、まんまとはまりました。

読んでいる時には全く気がつかないのに、解決編を読んでいる時に「あれは重要な事だったんだ!」と気づく快感が何度もありました。さりげなく書かれた文章の随所に、重要な手掛かりがちりばめられていました。

読み終わった後に感じた推理のポイントは次の2つです。
最初の事件の凶器
 毒針が刺さったコルク球。通称「トゲトゲボール」。
 この針の先についていたニコチンによって、被害者は死に至ったわけですが、では、犯人はどうやって、このトゲトゲボールを運んだのか、いや触れたのか。「さわれた」人を考えると、犯人を絞れます。

「X」の意味
 第3の事件の被害者が、指で「X」の形を作って死んでいました。
 いわゆる「ダイイングメッセージ」というものです。
 ただ、この答えは、書かれた1932年にはありましたが、オートメーション化された現代にはありません。見たこともありません。

なぞ解きも楽しいのですが、魅力的な登場人物(探偵)が出てくると、それだけでワクワクしてしまうなと感じました。
日本三大探偵は「明智小五郎」「金田一耕助」「神津恭介」の3人だそうです。
世界に目を向けた時は、シャーロックホームズ、ポワロと並んで、今回のドルリー・レーンも三大探偵に入るかもしれません。
皆さんは誰だと思いますか?

著書情報
「Xの悲劇」
 エラリー・クイーン(中村有希 訳)
発行所    創元推理文庫
発行年月日  2019年4月26日
値段     960円(税別)
*これまで、何回も表紙絵などをかえながら改訂されています。

皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです

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