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公園でのセミの孵化観察1年目に分かったこと②

2020年秋から本格的に始めた公園でのセミの孵化観察で分かったことの続きです。

それは、2020年夏に自然観察指導員の先輩が同じ公園で木の杭にヒグラシが産卵しているのを観察したことがきっかけでした。その産卵痕(産卵したあと)の場所を教えてもらい、後日、観察しに行きました。そして、自ら撮影した写真を自宅に帰って見直したところ、その木の杭のヒグラシの産卵痕に泡のような白い物質が付いていることが分かったのです。

ヒグラシの産卵痕に付いていた白い泡状物質
(2020年8月18日 OlympusTG5で撮影)
ヒグラシが産卵した木の杭
セミは木の杭にも産卵します。

「セミの一生」という子供向けの科学の写真絵本(あかね書房)には以下の記載があります。

「ヒグラシは、たまごをうみつけたあとの穴を、白いものでふさぎ、たまごをまもります。」

「これだ!」と思いました。
この発見をきっかけに私の公園内でのヒグラシの産卵痕探しがなぜか10月になってからスイッチが入り始まりました。公園内の産卵痕が見つけやすい針葉樹の樹皮にヒグラシの産卵痕がないか半日以上かけて公園内を探し周りました。そして、2本のヒノキにヒグラシの産卵痕を見つけることができました。

公園内のヒノキの樹皮で見つけたヒグラシ産卵痕
(10月1日 OlympusTG5で撮影)
公園内の別のヒノキの樹皮に見つけたヒグラシ産卵痕
(10月1日 Olympus TG5で撮影)

話が前後しますが、2020年の8月に初めてニイニイゼミが公園内の針葉樹の樹皮に産卵しているところを観察できました。

ニイニイゼミが産卵しているところ
(2020年8月18日動画撮影より抜粋)

そのニイニイゼミの産卵痕と木の杭のヒグラシ産卵痕でのセミの孵化観察を2020年9月中旬頃から本格的にスタートしました。セミは雨か雨上がりに孵化するので雨や雨上がりに公園に駆けつけました。

セミの孵化観察はルーペで観察します。

そして、ニイニイゼミの産卵痕と木の杭のヒグラシ産卵痕に加えてヒノキの樹皮の産卵痕も10月から加わり4か所を掛け持ちして観察をするようになりました。

ニイニイゼミの孵化を初めて観察した時のことは前の記事に書きましたので、そちらをご覧になっていただけたらと思います。
ここでは、ヒグラシの産卵痕での孵化観察についての続きを書きます。

木の杭のヒグラシの産卵痕を継続して観察したのですが、残念ながら、こちらは孵化した幼虫も、孵化した形跡も観察できずに終わってしまいました。(白い泡は何か所か消えていたので孵化した可能性もあります)

ヒノキの樹皮で見つけた産卵痕は、1か所、10月31日に孵化した形跡である幼虫が脱いだ皮を発見しました。セミは孵化した直後に皮を脱いで1齢幼虫に脱皮します。その脱いだ皮が産卵痕に残るので孵化したと分かるのです。

ヒグラシが孵化した産卵痕
孵化した一齢幼虫が脱いだ皮が産卵痕から飛び出ます。
(10月31日 OlympusTG5で撮影)

そして、もう1か所のヒノキの樹皮のヒグラシ産卵痕は、観察を始めてから2か月近く経った11月下旬頃に孵化してました。残念ながらこちらも孵化した幼虫は観察できませんでしたが、孵化した形跡である脱皮した皮が産卵痕に付いているのを11月26日に観察できました。前の週に見た時はなかったので、この一週間の間に孵化したことになります。

脱皮した皮の付いたヒグラシの産卵痕
(2020年11月26日 OlympusTG5でマクロ撮影)

孵化観察1年目で分かったことの1つは、
「ヒグラシは11月下旬でも孵化する!」
ということです。白い泡状の物質は保温効果もきっとあるのではないでしょうか。

2020年の秋は9月から11月までの間に27日公園に通ってセミが孵化していないか孵化観察を継続し、たくさんの発見があり充実した観察となりました。
観察して自ら何かを発見していくこと。それがすごく面白くて楽しくて喜びでした。だから観察を継続できました。継続して観察して発見する面白さを初めてちゃんと実感する年となったように思います。

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