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【長編詩】ふたり

僕が誘って 君を連れ出したら
秋を見つけて 君が笑った
君のお気に入りの 薄手のコート
それに合う靴を探しに行こうって 歩いてたけど
鯛焼き屋さん見つけて ちょっとひと息
君が好きな イチョウの並木
いつも君のそばにいて 
君と歩幅を合わせられたら

昨日の君を 思い出したら
なぜか不思議と 頬が緩んだ
ふと見た写真に 君の笑う顔
君の無邪気なとこが好きなんだって
言おうとしたけど
なんだか難しくて やっぱりやめた
小さな悩みなんてどうでもいいやって思える 
君との時間
この先の写真フォルダも 
「君」と過ごした時間で一杯にできたら

僕が急いで 家路に着いたら
君が怒って 先に眠った
君に贈る アメジストのイヤリング
明日は君にちゃんと謝ろうって 心に決めたのに
朝目覚めたら 
僕の携帯に残された「ごめん」の履歴
僕が苦手な 君との喧嘩
ぶつかり合っても また君と分かり合えたら

僕が隠れて 君を待ってたら
僕を見つけて 君が笑った
僕らの行きつけだった 駅前のレストラン
今度一緒に行こうって 話してたのに
いつまで経っても つかない店の明かり
君が好きな オムライス
いつか僕が作って 君を喜ばせられたなら

ナポリタン作って 君と食べたら
話が弾んで 君が笑った
君が今日見つけた 素敵の全部 
僕に伝えてよって 話していたら
飲まないうちに とっくに冷めたコーヒー
君が好きな ほろ苦いホットコーヒー
もう一度温め直して 君と夜更けまで話せたなら

おはようって言って カレンダーみたら
今日の日付に 花丸ついてた
君と迎える 何十回目の結婚記念日 
もう何度目だろうって 指折り数えたら
君と笑ったぶんだけ できた皺
いつもより少し大きな 秒針の音 
君との砂時計はこんなに早く進むなんて
最後の一粒の砂が落ちるまで 
君の隣で笑えたのなら

一日中雨降り予報で 君と映画を見てたら
君にプロポーズした日が 思い浮かんだ
君と見た いつかのラブストーリー
結末がハッピーエンドじゃなかった気がするって 君に言ったら
あの頃と同じシーンで 君が泣いてた
どんなに年を重ねても 変わらない君
君を好きになった あの瞬間の僕へ
奇跡のような君との今を もし伝えられたなら

君を連れ出して 散歩道を歩いたら
君の足元に 小さな花が咲いていた
君は最近 少し忘れんぼう
花の名前はなんだっけって 君に聞くけど
なんだろうって こだまするだけ
君はいずれ大切なものの全部 忘れてしまうの?
こんな時 もっと強い僕がいて 
大丈夫そばにいるからって 
そんな言葉を君にかけられたなら

君が眠っていて 僕が起こしたら
僕を見つめて 君が泣いた
君と分け合った 君との人生
ずっとそばにいるって 話してたのに
時が経ったら 果たせぬ約束
君が嫌いな 僕の泣き顔
僕は必ず君を探すよ また君と会えると信じて

僕が1人で 窓の外を見たら
月が綺麗で 涙が溢れた
あの夜君に言った プロポーズの言葉
あの日に戻れたらって どんなに願っても
君がそばに居なくて 埋まらない2人掛けの椅子
君は今頃 何処にいるんだろう
僕は祈るよ 君がそばで見ていてくれると

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