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元カレと和解そして決別

別れて音信不通になった元彼から一ヶ月ぶりくらいに連絡が来た。「ごめんね」って。彼自身、今になると何であの時あんな風に私を振ったのかわからないらしい。

彼に何の前触れもなく突然別れを告げられた最後の日、「もう顔も見たくないし、声も聞きたくない」なんてチャット越しに言われた。何故大好きだった人にこんな風に嫌われてしまったのだろうとそれから私はずっと考えていた。

彼と別れたことを何人かの親友たちに話した。みんな優しかった。「あなたみたいにlovelyで素敵な人を嫌いになる意味がわからない。絶対これからもっと素敵な人に会えると思うわよ」って。本当にlovelyで素敵なのは彼女たちだ。

“正気に戻った” 彼曰く、私のことを嫌いだと思ったことは一度もないらしい。あの時はとんでもなく自己嫌悪に苛まれていて、自分は私と付き合うにはふさわしくないと勝手に自己完結して、いっそここで別れてしまおうと決意したとか。そして酷いことを沢山言えば自分のことなんかすぐに嫌いになってくれて、スッキリさっぱり別れてくれると思ったそうだ。とんだ野郎だ。

彼の自己肯定感の低さは尋常じゃなかった。久しぶりに話してみると、その重さがとことん身に沁みた。これは本当に疲れると。無論、その自己肯定感の問題は彼の責任ではないとは思う。自信がないこと、自分を受容できないことは、幼少期からの家庭的、社会的なもっと構造的な問題な気がしている。

彼は言った。「ずっと自分のことを心から愛してくれる人が欲しかった。そして自分もその人のことを心から愛そうと思った」と。今までにも何人か、恋人関係に進展しそうな女の子たちがいたけれど、最終的には自らその関係をぶち壊してしまったらしい。自分は呪われているんだと、彼はぼやいた。

「もしかしたらまだ昔の想いが残っていて、すぐにあの頃に戻れるんじゃないかなんて期待していたけど、やっぱりそんなことないよね」、彼はそう言った。復縁したいとは言わなかった。私にその気がないのは明らかだったのだろう。

もっと素敵な女の子と出会って幸せに生きて、そう言ったら、「君からそんなこと言われると心臓が抉られるようだよ」だって。
「そう簡単には君のことを忘れる気がしないし、大好きな気持ちも止められない。僕はこの先暫く、ずーっとずーっとシングルだろうね」
そして別れた勢いで私との写真や思い出の品々を捨てた少し過去の自分を呪っていた。

私だって彼とのことはそう簡単には忘れないけれど、いつかまた新しい恋を見つけて、新しい彼を大好きになって、先に進んで行くのだと思う。

とんでもない別れ方だったけど、彼とはちゃんと和解した。友達同士に戻るわけではないけれど、彼は “過去に愛した男” になったのだ。

「今後、仕事でも何でも、トルコに来る時はおしえてね。ツアーガイドでも何でもするよ。僕は君にまた会いたいんだ。大丈夫、ちゃんとわきまえるから」
そんなことを言うから、切ないなぁと思う。

For the last time, I’ll say
Miss you and love you, kitty

彼はさみしいし、愛してると言った。嘘だとは思わないけど、その気持ちもいずれ薄れるよと思う。

いい男だった。そして同時に最低な野郎だった。人間みんなそんなもんか。私は彼を好きになった。彼もまた私を好きになった。いい恋だった。

元気で幸せに生きろよ
今の私は心からそう思うのだ。

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