- 運営しているクリエイター
記事一覧
階段を登る君を見つめて➕追伸
「初恋!?。いつの事か思い出すのも困難だ。
この歳になると。最初誰に恋したっけ?」
初老の男は、5歳の孫の質問に真剣に悩んでいる。
「そう、あれは・・・」
男は頭の中で時を戻し始めた。
目に浮かび見えてきたのは、五月雨の季節。
中学二年生だったあの時の体育館。
私が淡い感情を抱いている娘が僕の側にいた。
時々、彼女と目線が重なり合う。
トキメキを隠しながら、素知らぬ顔の僕。
その娘も恥ずかし
魂の記憶(短編小説)
私は、まだ5歳。
と、いうことになっている。
私の初恋は、前世で中学生の時だった。
彼との初キスの時彼の頭の中でかかっていた曲は、映画音楽の「愚かなり我が心」だった。
彼はまだ、私を覚えているだろうか?
私は、おじいちゃんに、聞いてみた。
「ねぇ、おじいちゃんの初恋の話、聞かせてよ」
おじいちゃんは、困っているみたいだった。
やっぱり、私の事なんて、覚えてないかな?
寂しい。
私だけの秘密。
と
電柱と樹木(幸&ボーンの創作童話)・起
不思議色の空の下、向かい合うように、電柱と樹木が立っていました。
端から見ると、とても仲が良さそうに見えました。
でも、二本はいつも、テレパシーで会話して、いがみ合っていました。
女の電柱は、スレンダーで、黄色と黒の縞模様の衣装を身に付けて、お洒落をして、そんな自分を気に入っていました。
しかし、男の樹木は嘲笑しつつ、言いました。
「へっ!ブスほど身を飾るっていうけど、本当だな」
「何?それ、私の
電柱と樹木(幸&ボーンの創作童話)・転
「さて、どうしたものか?」
閻魔も困って首を捻りました。
お釈迦様も、観音像も、みんな、他人任せか。
ま、どうせ痴話喧嘩か何かだろう。
痴話喧嘩は犬も食わないというしな。
そうだ、韋駄天に頼んで、急いで、お互いに方便の恋文を届けさせるとするか。
善は急げと言うしな。
閻魔は心の中で思いました。
そして、閻魔堂から、目に見えない新しい巻物を、二巻き取り出して、眷属の太山府君に、恋文を書くように命じま