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第82回 「1学期に公共をやってみて感じたこと」(「公共」研究チーム)

第82回は「1学期に公共をやってみて感じたこと」と題して、1学期間の公共の授業の様子や評価についてご発表いただきました。報告者は旧課程から新課程の授業を意識された実践を行っており、同僚とも相談しながら教材を作成しておりました。しかし、以前まではいわゆる穴埋め方式のプリントを採用しており、考える要素や時間は少なかったそうです。現在は問いを中心としたプリントで知識は最低限にしており、思考や判断、表現を問うような問題をちりばめてプリント作成をしております。今年度は新科目「公共」を担当しておりますのでその内容を共有していただきました。
1学期の中間までを「公共の扉」、期末までを「自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち」の「主として法にかかわる事項」を扱うと設定しました。単元の計画がなによりも大切である。
報告者の中での「公共の扉」の理解。公共的な空間を作る私たち自分自身の内面やこれまでの人生を振り返ることで、これからどうしていきたいのかを考える単元 。青年期などを題材に「私」について考える公共的な空間における基本的原理義務論・功利主義な様々な価値観・判断基準に触れ、これまでの人生やこれからの人生の中で、何を基準に判断してきたのか、これから何を基準に行動すべきかを考える単元 。「私」がどのようにして他者や社会と関係を築いているのかについて考える。平等・自由・法の支配などの基本原理について考え、身の回りの社会がどのようにして成立しているのかを考える単元 。「私」がどのようにして社会の中で行動するのかを考える。 公共的な空間における人間としての在り方生き方 単元が進むにつれて「私」を中心に扱う範囲が広がっていくイメージである。
「自立した主体としてよりよい社会の形成に参画する私たち」の理解。憲法は改正すべき?人権はどこまで認められる?裁判員として注意すべきことは?この裁判はどちらが正しい?正しい契約とは? など公共の扉で得た義務論や功利主義、公正などの価値観や基本原理をもとに現代の事柄について思考・判断・表現する。単元ごとに自分の価値観が揺さぶられながら現代の様々な事象について考えるイメージである。
作る際に困ったこととして、中間までは野外活動もあり、実施時間は8時間しかない。つまり、8時間で「公共的な空間を作る私たち」「公共的な空間における人間としての在り方生き方」「公共的な空間にお ける基本的原理」を行う。 想定では教科書を抜粋しつつ各項目3~4時間ぐらいで実施。教科書どころかここまでの構想さえ現実にするのは不可能である。
話は評価の話に移ります。文章の何を「態度」として評価するのか。「現代の諸課題を主体的に解決する態度を養う」つまり社会の様々なことに対して、他人事ではなく自分事としてとらえることができればいいのではないかとい報告者の考えです。諸課題に対し「私なら○○する」のように自分事としてどうするのかを書かせて、その内容を評価する。
しかし、思っていたよりも書くことができない現状が。また態度の評価を見て生徒が「私ってそんなに授業態度が良くないですか?」という疑問。やっていくうちに何が正しいのかわからなくなっていく現実がありました。
議題態度の評価は具体的に何をどのように評価していますか。
可能なら具体的なものを見てみたい。
【以下議論】
・態度の評価なんていらないのではないか。評定平均なんてものもいらないのではないか。そもそも態度という名前で評価をするから生徒の捉え方とこちらの思いがずれてしまうのではないか。
・どのようなことを評価したら良いか。私自身はどうしたいのか。社会全体としてどうしていくべきなのか。また課題としては粘り強く考えなければいけないようなそのような課題を提示することが大切である。
・「態度」という言葉がよく無いと思う。
・探究科目ではどのような問いができるか。正義とは?宗教とは?など
・問いが抽象的ではないか。フリーライダーを排除しすぎているという指摘。生徒の様々な学びを保障してあげてほしい。
・評価の観点の割合の話。学校ごと。
・発表者は結局のところ、モヤモヤの残る形となった。しかしこうやって考え続けることが大事である。
・割合の話は学校現場の先生方の関心の高い話題。
・自分の自由を守るために何ができるかということを考えることが社会全体でどう出来るかを考えることになる。
・評価は学習目標に対する評価である。
18名参加

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